長崎大学病院がん診療センター

ごあいさつ

がん診療センター長 芦澤和人
長崎大学病院がん診療センター
センター長 芦澤 和人

「16年目に入ったがん診療センター」


「がん診療センター」は昨年3月に15周年を迎え、今年度で16年目に入っています。当院のがん診療は着実に前に進んでいましたが、2019年12月に中国で1例目が確認された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が、数ヶ月でパンデミックと言われる世界的な流行となり、当院のがん診療も大きな影響を受けました。現在も完全なアフターコロナの時代ではありませんが、当院スタッフの献身的な努力により、がん診療はかなり元の状況に回復してきています。

2018年に第3期がん対策推進基本計画が策定され、その分野別施策の2.がん医療の充実の1番目に「がんゲノム医療」が挙げられました。当院は2019年にがんゲノム医療拠点病院に指摘され、県内の2施設のがんゲノム医療連携病院や周囲の医療機関と連携しながら、がん遺伝子パネル検査に対応しています。今後も患者さんの一人一人にあった「個別化医療」を推進していきます。

今年3月には第4期がん対策推進基本計画が閣議決定されました。現在、長崎県がん診療連携協議会は長崎県に全面的に協力して、第4期長崎県がん対策推進計画を策定中であります。がんによる死亡率の減少、科学的根拠に基づくがん予防・がん検診の充実、患者本位のがん医療の実現、離島地域におけるがん診療の質の向上、尊厳を持って安心して暮らせる社会の構築、を目標として取り組んで行きたいと思います。

センタースタッフも少しですが増員されてきており、各部門の実績も今後、順調に延びていくものと考えています。今後も、地域がん診療拠点・推進病院や地域医療機関との連携体制の強化、また、医療・福祉・介護等の連携構築を行っていく所存です。今後ともご協力・ご支援を宜しくお願い申し上げます。

(2023年12月)

「がん診療センターの10年間をふりかえって」


 2007年3月、長崎大学病院内に「がん診療センター」が開設されから10年が過ぎました。これまで、たくさんの方のお力を借りながら活動を続けてきましが、2014年9月に、「がん診療センター」は放射線治療部門やRI部門(PETセンター)が隣接した新中央診療棟に移転しました。センター内には、がん相談支援室を併設しており、治療や検査に訪れたがん患者さんが気軽に相談できる体制を整えています。2015年4月には、「緩和ケアセンター」を設置し、さらなる体制強化を行いました。センター化に伴い、より多職種による緩和ケアチームの活動となったことで、地域医療機関との連携もさらに強まったと感じています。2016年4月からは、「長期療養者等に対する就労支援事業」として、ハローワーク長崎と協働してがん患者の就労支援を開始しました。この10年間でセンタースタッフも少しですが増員され、各部門の実績も順調に延びてきています。これは、センターのみならず院内のがん診療に携わる全てのスタッフの努力の賜物だと感謝しています。
 「がん診療センター」の活動は11年目に入っており、その歩みは着実に前に進んでいると考えていますが、拠点病院の役割は多岐にわたり、要求される内容を少しずつハードルが上がってきています。県がん診療連携拠点病院である当院には、長崎県や地域がん診療連携拠点病院・推進病院、長崎県医師会などと協力して運営している長崎県がん診療連携協議会の事務局があります。これまで、この協議会を中心に、県全体のがん診療の質の向上及びがん診療の連携協力体制の構築を目指して邁進してきました。来年度は、国および長崎県の第三次がん対策推進基本計画が策定される予定です。今後は、これまで以上に地域医療機関との連携をより強固なものとし、AYA世代を含めてライフステージに応じたがん医療、また在宅の視点などにも注目して取り組んでいきたいと思っています。今後ともご協力・ご支援を宜しくお願い申し上げます。

(2017年4月)

「がん診療センター5年間をふりかえって」


 2007(平成19)年3月に長崎大学病院に「がん診療センター」が設置されてから、早いもので5年が経ちました。この5年間を簡単にふりかえってみたいと思います。
 日本のがん診療において、2006年という年は大きな変革の時期となりました。6月に、国民の念願であった「がん対策基本法」が制定され、“がん医療の均てん化 ”すなわち “全国どこでも質の高いがん医療を受けることができる ”ことが基本施策とされました。同年 2月には、“がん医療の均てん化 ”の中心的担い手として、がん診療連携拠点病院制度の運用が開始されました。「世界一の長寿国」である日本は、「世界一のがん大国」であり、死亡原因のトップであるがん対策に、国が本格的に取り組みはじめたわけです。
 当院は、2007年 1月に、都道府県がん診療連携拠点病院の指定を受け、同年3月に「がん診療センター」が開設されました。当初、(1)がん登録、(2)化学療法、(3)緩和医療、(4)相談支援、(5)研修・研究、(6)放射線治療の6部門を設置し、各部門では、がん医療に不可欠なチーム医療を実践すべく、各診療科や中央診療部と連携して運営にあたってきました。本HP上の各部門の所をご覧になって頂きたいのですが、5年間で、いずれの部門も順調に業績・件数が延びてきています。これは、院内のがん診療に携わるスタッフの努力の賜物であり、活発な活動がなされたことを大変嬉しく思っています。
 2010年度からは、がん患者や家族の憩いの場として、月1回、がん患者サロン(「ばってんサロン」)を開催しています。また、新たに(7)地域連携パス部門を設置し、がん地域連携パスの運用を開始しました。患者は当院と連携医療機関(かかりつけ医)を共同計画表(パス)に従って受診することで、自身の診療計画や病気を理解でき、かかりつけ医のところで手厚い診療を受けることができるようになります。
 すでに「がん診療センター」の活動は6年目に入っています。着実に前進していますが、拠点病院の役割は多岐にわたり、まだまだ十分でないところもあります。今後、地域医療機関との連携や在宅の視点などにも注目して取り組んでいく必要があると思っています。また、県がん診療連携拠点病院である当院には、長崎県や地域がん診療連携拠点病院・推進病院、長崎県医師会などと協力して設置した長崎県がん診療連携協議会の事務局が置かれています。今後、この協議会を中心に、県全体のがん診療の質の向上及びがん診療の連携協力体制の構築を目指したいと思っています。

(2012年10月)

「ごあいさつ」


 現在、わが国では年間約60万人ががんに罹っており、約30万人ががんで死亡しています。がんは死亡原因のトップであり、3人に1人ががんで死亡していることになります。長崎県に関して言えば、平成17年度の統計では、がん死亡率が全国ワースト6位であり、九州ではワースト1位という結果でした。今後急速に進む高齢化に伴い、国民の半数が人生で一度はがんに罹り、がんで亡くなる人が益々増加することが推測されており、がん対策は急務と考えられます。

 このような状況のなかで、国は、平成16年度より実施されている「第3次対がん10か年総合戦略」および平成18年6月に成立した「がん対策基本法」において、“がん医療の均てん化”すなわち“全国どこでも質の高いがん医療を受けることができる”ことを基本施策としました。さらに、従来のがん診療拠点病院制度を見直し、平成18年2月よりがん診療連携拠点病院制度の運用を開始しました。平成19年1月までに、全国で286の施設が、“がん医療の均てん化”の中心的担い手としてがん診療連携拠点病院に指定されています。がん診療連携拠点病院の役割として、専門的ながん医療の提供、地域のがん医療連携体制の構築、情報提供・相談支援の実施が挙げられています。具体的には、集学的治療(手術、放射線治療、化学療法など)や標準治療の実施、セカンドオピニオンや緩和医療の提供、専門スタッフ(医師、薬剤師、看護師、臨床心理士、診療録管理士、診療放射線技師、医療ソーシャルワーカー)の配置、外来抗がん剤治療室や放射線治療施設の設置が求められており、地域に対する相談支援センターの設置や院内がん登録の実施も重要な指定要件となっています。

 長崎大学病院は、平成19年1月31日付で、都道府県がん診療連携拠点病院の指定を受けました。これに伴い3月には、院内に「がん診療センター」を開設し、このホームページの機構図にあるように、1)がん登録部門、2)外来化学療法部門、3)診療連携(緩和医療)部門、4)診断支援(病理・画像診断)部門、5)相談支援部門、6)研修。研究部門、7)放射線治療部門の7部門を設けました。各部門では、がん医療に不可欠なチーム医療を実践すべく、各診療科や中央診療部と連携して運営にあたっています。また、都道府県がん診療連携拠点病院の指定要件である、主に長崎県の5つの地域がん診療連携拠点病院のスタッフに対する研修会(平成19年度は4回)の開催や、長崎県がん診療連携協議会(平成19年9月開催)の設置を行いました。さらに、当院としては、拠点病院としてのがん診療体制の整備に加えて、がん医療に携わる医師、薬剤師、看護師などの専門スタッフの育成も重要課題と考えています。平成20年度からは、文部科学省がすすめる「がんプロフェッショナル養成プラン」が長崎大学大学院医歯薬学総合研究科でも始まる予定であり、質の高いがん医療スタッフの育成に努めていきたいと思っています。

 これまでは、患者さんや家族の方ががんに罹った場合、がんの診断や治療法、予後、医療機関などに関する情報が十分であったとは決して言えません。平成19年7月14日には、厚生労働省、国立がんセンター、長崎県と協力して、「がん情報サービス向上に向けた地域懇話会」を長崎大学医学部記念講堂で行いましたが、会の後半の患者・住民・医療従事者等との意見交換の場では、活発な質疑応答が行われました。アンケートでは大多数の方がこの懇話会に満足され2回目以降の開催を希望されていることがわかり、平成20年度も開催を予定しています。このホームページでは、皆さまに有用ながんに関する情報を発信していきたいと考えています。当院では、県内の地域がん診療連携拠点病院と協力し、県内どこでも誰でも質の高いがん医療を受けることができるように日頃から努力してまいります。このホームページが多くの方々に有効利用されることを切に祈っています。

(2008年1月)

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