長崎大学病院がん診療センター

センター概要

がん登録部門

 
「がん」病名、発症日、重症度、治療内容等と、
その後の経過および予後が随時登録され、
その結果をフィードバックすることで、がん診療に役立てています。

 

がん登録室の役割

長崎大学病院がん診療センター
がん登録部門 部門長
松本 武浩

 厚生労働省の人口動態統計によると令和3 年度の悪性新生物(「がん」)による死亡者数は約38万1千人です。本HPのスタート時に示した平成18年度が約32万9千人ですから6万人弱増加しています。これは全死亡者数26.5%を占めており、やはり平成18年度の30.4%からは4%ほど減っているものの、昭和56年以降、死亡原因のトップであり続けています。平成16年度より実施された「第3次対がん10か年総合戦略」では、「全国どこでも、質の高いがん医療を受けることができるよう「均てん化」をはかる。」とされ、その具体的な政策として平成19年度にがん診療拠点病院が整備されました。長崎大学病院は平成19年10月、県内のがん診療拠点をとりまとめる都道府県がん診療拠点病院としての認定を受け「がん診療センター」がスタートしました。優れたがん診療を提供する上で、新たながん治療法や新薬の研究開発、最適な治療の選択と実施管理、緩和ケアの推進に加え、がん診療に関する正しい情報提供等が必要ですが、同時に「がん」患者の実態を正確に把握することも必要とされています。がん診療に対する様々な手術や治療も、結果として本当に効果があったのかどうか? 実際に、がん罹患率やがんによる死亡率が減少したのかどうかを客観的かつ正確に把握、分析しなければ適切で効果的ながん診療を提供できているかどうか判断できないからです。それを担っているのが「がん登録」です。「がん診療センター」機能の一環として「がん登録部門・がん登録室」が設置され、全診療科の協力のもと「がん」と診断した時点でセキュリティの高いコンピュータシステムを使って精度の高い「がん登録」を実施しています。「がん」に関する情報として、「がん」病名、発症日、重症度、治療内容等が登録され、その後の経過および予後(治療結果)が追加されることで、「がん」の種類毎の正確な治療効果が明らかになっていきます。その結果を再び診療の現場や基礎研究にフィードバックすることで「がん診療」に役立ていくことになります。また、「がん」治療の説明において、このようなデータを利用することで、より安心できるインフォームドコンセントが得られるものと期待されます。長崎県には6つのがん拠点病院と2つの推進病院がありますが、この8病院で、より質の高いがん登録を目指し、密な協力と相互支援体制を敷いています。がん登録担当実務者は、がん登録に必要な知識とスキルを身に着けた上で専用の資格が必要ですが、資格を持った者でも様々なケースで、正確な登録にあたり判断に迷うことがあります。このため平成28年度より月1回TV会議を使った実務情報共有とオンライン研修会を実施しており、登録精度向上に努めております。
 長崎大学病院では平成19年1月以降登録を開始し現在までに36,672件が登録されました。
 このような目的で行っていますので患者様には予後アンケート調査等でご協力をお願いすることがございます。その折には趣旨をご理解の上ご協力賜りますよう宜しくお願いいたします。

がん登録状況

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