基幹災害拠点病院としての当院の取組

 長崎県には14の災害拠点病院が指定されていますが、当院はその中心的役割を果たす基幹災害拠点病院です。基幹施設として、県内の様々な災害に関する研修、訓練の企画、運営を行っています。
 毎年4月に開催する災害医療従事者研修は、災害時のことを学びたくても機会を見つけられないという方向けの、いわば入門編として開催している研修で、職種に関係なく災害時の医療対応の基礎を学ぶことができます。
 7月には、病院災害対策本部支援要員養成研修(Logistics Helping Hospital Headquaters;H3コース)を2日間にわたって開催し、災害時に院内に設置される病院災害対策本部の立ち上げ、運営方法を実践的な演習も交えて学んでもらっています。
 8月には市民公開講座、「自然災害から身を守る」こども編、大人編を開催し、地震、大雨、土砂災害の専門家を招いて、それら自然災害からどうやって自身を守ったらいいのかを講演いただいています。
 9月には「災害を考える週間」を設けて、これまでの災害対応に関する資料を展示し、災害時の医療対応のプロをお招きして、講演いただいています。
 これらは、院外の方も参加できる企画ですが、もちろん院内向けの取組を行っています。
 まず災害訓練に関してですが、机上訓練、トリアージ実習、エマルゴトレーニング、災害対策本部要員机上演習、実働訓練と5種、合計7から8回の機会を設けています。本部要員向けの机上演習以外は、各医局、病棟などから年間を通じた参加者を選定してもらっています。


長崎大学病院災害医療支援室ウェブサイトNewWindow
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病院災害対策本部支援要員養成研修① 病院災害対策本部支援要員養成研修②
病院災害対策本部支援要員養成研修
(Logistics Helping Hospital Headquaters;H3コース)
市民公開講座「自然災害から身を守る」 災害医療従事者研修
市民公開講座「自然災害から身を守る」 災害医療従事者研修

 次に、災害対策本部支援ロジスティックス研修(University of Nagasaki Logistics Support Team;UNLOST)を、全職種を対象に募集し、7月から3月までの毎月1回2時間開催しています。研修内容は、スキルの習得と演習からなり、毎回内容を変えて提供し、要件をクリアした受講者は、UNLOST隊員として認定し、災害対策本部が設置された際の支援要員として本部業務に従事するようにしています。
隊員としては、事務職員、看護師が多いですが、薬剤師、検査技師、歯科医師も登録しています。UNLOST隊員の活躍は、コロナ禍における災害対策本部設置、運営において、一定の評価を受けました。
 お伝えしたように、基幹災害拠点病院として県内の災害医療従事者の教育を担っている当院ですが、院内の災害関連業務も併せて、災害医療支援室という部署がその役割を担っています。医師、看護師、薬剤師、検査技師、歯科医師、事務員からなる多職種の組織で、日夜災害対応に関することを協議し、長崎大学病院の災害対応力向上、ひいては長崎県の災害対応力向上のために活動しています。
 このように、長崎大学病院は救急分野だけでなく、災害時の医療対応においても長崎県の中核施設としての機能を果たしています。

災害対策本部支援ロジスティックス研修① 災害対策本部支援ロジスティックス研修②
災害対策本部支援ロジスティックス研修
(University of Nagasaki Logistics Support Team;UNLOST)