留学記・海外での学会発表

海外研修参加報告
ハワイ大学医学部 シミュレーションセンター
(米国 ハワイ)
救命救急センター 修練医 村橋 志門
 2017年9月18日〜22日、米国ハワイ州ホノルル、ハワイ大学医学部シミュレーションセンターでハワイ大学短期海外研修に参加してきました。
 本研修は長崎大学病院 医療教育開発センターが主催するプログラムです。毎年センター指導医の宮本 俊之先生が10人程の初期研修医を連れて、ホノルルでシミュレーターを使った研修を行っておられます。
 私も長崎県で初期研修をしていたので、このプログラムのことは耳にしていましたが、日程が合わず断念し、もう参加の機会はないものと思っておりました。今回は宮本先生から「指導者サイドの勉強として参加しないか」とのお誘いを受け、参加させて頂くこととなりました。
 ハワイ大学医学部シミュレーションセンター(SIMTIKI)では、気道管理や患者安全、小児の急変対応、多数傷病者のトリアージについて、講義→シミュレーターを使って実習、という形で学びました。
 講義は、研修医の主体性を大切にした展開でした。例えば、トリアージについての内容であれば、講義の最初に「トリアージとは何か?皆の知っていることを教えてください」のように問いかけるなど、随所に生徒が興味を持てるような要素が見られました。
 シミュレーターを使った研修は私も日本で何度も受けたことがありましたが、「手技の練習と確認」というイメージを持っていました。しかしSIMTIKIでのシミュレーターは手技のみではなく、問診や身体診察も含めた医療面接の流れで行われました。そのため研修医も単なる手技の確認としてではなく、実際の診療のように緊張感を持って取り組むことができていました。
 またSIMTIKIには各国から多くのトレーニーが研修のために留学しており、そうした方々と意見交換をすることができたのも貴重な経験でした。
 研修中は、もちろんハワイも楽しみました。日中は室内で研修をしたので日焼けはそれほどしませんでしたが、毎晩研修医と一緒に食事をしたり、買い物をしたり、最終日にはサーフィンもできるなど、最高の5日間でした。
 突然後期研修医が一人参加して、初期研修医の皆さんが戸惑うのでは…と心配していましたが、皆さんとてもフレンドリーで、楽しく過ごせました。
 今回のプログラムに参加し、医療における教育の大切さに気づくことができたと思います。後期研修医として、初期研修医とは毎日仕事をすることになります。こちらが十分な知識・技術を持ち、常にブラッシュアップしていかなければ教えるのは難しいと知ることができました。指導者サイドとして参加しましたが、非常に有意義なプログラムだったと思います。
 帰国後は、少しずつですがハワイで学んだことを活かすべく、研修医を対象にシミュレーターを使った研修会を開催しています。まだ手技の確認・練習程度の会なのですが、いずれはSIMTIKIでしたように、実際のERでの対応を想定したものにレベルアップしていけたらと考えています。この間まで初期研修をしていた私だからこそ、初期研修医の希望に沿った研修会が開催できるのではないか、そしてその中でハワイの時のように、当科をローテートしている研修医とも腹蔵なく話ができるようになれば最高だと考えています。
 今回の研修は本当に最高でした。初期研修医の皆さん、一生思い出に残る時間なのでぜひぜひ参加してみて下さい。
 最後に、ボルチモアと併せて今回の長期の海外研修を許可して下さった田崎教授、そしてホノルルで指導者としてのあり方をご指導下さったベン、宮本先生をはじめとする皆様に、この場をお借りしてお礼申し上げます。本当にありがとうございました。
ハワイ大学医学部 シミュレーションセンター①
ハワイ大学医学部 シミュレーションセンター③
ハワイ大学医学部 シミュレーションセンター②
ハワイ大学医学部 シミュレーションセンター④