ホーム > 医科専門研修 > 専門研修実績 > 専門医への軌跡 (ローテーション例など) > 検査部
検査部(2017年度までの旧制度)
専門医修得規定
後期臨床研修プログラム
1.一般目標
いかなる疾患も、正しい検査結果の解釈や、正しい病理診断なくしては適切な治療を行うことは出来ない。病院の中枢機関である検査部と病理部、および希望する内科とのジョイントプログラムにより、検査や病理診断に精通した医師を養成する。
具体的には、「臨床検査専門医」、「病理専門医」および希望する内科の「認定医または専門医」の資格を取得し、幅広い診断技術と視野を持った医師を目指す。
研修終了後に、臨床検査医、病理医または希望する内科医の何れの道を選択するかは本人の自由意思である。検査部および病理部と現時点で直接的につながりのある内科は、血液内科学、呼吸器内科学および感染症内科学であるが、相談次第でその他の希望する科とのジョイントも可能である。
現行の保険制度では“検体検査管理加算(資料参照)”が認められているが、この加算は検査の専門医がいる病院に限定されている。従って、「臨床検査専門医」の資格を持つ医師の存在は病院にとっても利益になり、就職に有利である。
「病理専門医」の存在は、その職務に専念するか否かに関わらず病院にとって大きな利益である。また病理医としてではなく内科医としての道を選択した場合でも、病理学的知識は専門領域の理解と診断に深みを与え、適切な治療法の選択に役立つ。
2.行動目標
- 検査部内の各部所で研修を重ね、「日本臨床検査医学会 臨床検査専門医」の取得を目指す。
- 病理部で研修し、「日本病理学会 病理専門医」および「日本臨床細胞学会 細胞診専門医」の取得を目指す。
- 日本内科学会認定医を取得後(検査部での研修は内科学会認定医受験資格の研修期間に含まれます)、希望する内科領域の「認定医または専門医」の取得を目指す。
- 各研修期間中は関連学会に所属し、指導医のもとに研究を行って成果を発表する。
3.研修目標
検査部での目標
- 検査部の組織や、臨床からの検体の搬送システムを理解している。
- さまざまな検体の取り扱い方を理解している。
- 検査機器類の原理を理解し、その弱点を熟知している。
- 精度管理のシステムを理解している。
- 血液検査の結果を適切に解釈し、血液細胞・骨髄細胞の形態診断ができる。
- 生化学検査の結果を適切に解釈できる。
- 免疫血清検査の結果を適切に解釈できる。
- 感染症の原因微生物の分離同定や薬剤感受性テストの結果を解釈できる。
- 効果的な抗菌剤の選択や投与法に精通している。
- 院内感染症に対する管理や対策を行うことができる。
- 脳波、心電図、肺機能、血液ガスの結果を解釈できる。
- サザンブロット、PCR、Sequencingなどの基本的な遺伝子解析技術を習得し、また結果を解釈できる。
- フローサイトメーターを使用でき、また結果を解釈できる。
- 「臨床検査専門医」の試験では実技も課せられる。従って、クロスマッチテストや不規則抗体検査、グラム染色、Ziehl-Neelsen染色etc.の、輸血検査を含めた一般的検査技術をマスターし、また結果を解釈できる。
病理部での目標
Step 1(1、2、10、11、12は必須)
- 病理業務の実体を理解し、臨床との連携の重要性を学ぶ。
- 切り出し方法を理解し、提出された臓器を適切に切り出すことができる。
- パラフィン包埋を行うことができる。
- パラフィンブロックを薄切りすることができる・
- 一般的な特殊染色を行うことができる。
- 免疫染色を行うことができる。
- 凍結切片を作成することができる。
- 電顕標本を作製できる。
- 電顕写真を撮影できる。
- 日常的な生検標本を診断できる。
- 外科切除臓器に対し、取り扱い規約に沿って診断書の作成を行うことができる。
- 病理解剖を安全に行うことができる。
Step 2
- 非典型例、稀な症例を自力で教科書や文献を検索し、診断することができる。
- 術中迅速診断を自分で行うことができる。
- 臨床医とのカンファランスで、病理所見を説明することができる。
希望内科での目標
希望内科の目標に準じる
4.週間スケジュール
検査部のスケジュール
大学院生カンファランスおよび抄読会:火曜日 午後5:30〜
検査部フォーラム:毎月2回 午後5:30〜
上記以外の時間は検査部各部所での研修、またはジョイント研修科で研修を受ける。
病理部のスケジュール
技術習得のため、3ヶ月を1クールと考え、1クール以上を連続して研修を受ける。
09:00〜13:00:午前中切り出し。(付き添い勉強兼撮影班および当番)
15:00〜15:30:午後の切り出し。(付き添い勉強兼撮影班および当番)
17:00〜済むまで:担当症例の病理診断。
残った時間:勉強時間、前日分の積み残し症例診断など、自由。
4週毎の週末
大学病院の病理解剖当番。
各種臨床—病理カンファランス、研究会
随時出席。
希望内科のスケジュール
希望内科のスケジュールに準じる。
5.資料
検体検査管理加算の条件
- 臨床検査を専ら担当する常勤の医師が1名以上いる。
- 勤務時間の大部分を検体検査の判断補助、検体検査の全般の管理・運営に当たっている。
- 他の診療などを行っている場合は該当しない。以上のような専任医師の条件がある。
これに加え、外部・内部精度管理、臨床検査の適正化に関する委員会の設置および血液型・クロスマッチを含む血液・生化学緊急検査が常時可能であるという諸条件を満たした医療機関に対して、入院患者1人につき、1ヶ月に1回加算される(1人400円以上であるから、800床の病院であれば32万円/日以上、月に換算すれば960万円以上、1年間では1億1520万円に以上の増収となる)。
日本臨床検査医学会 臨床検査専門医制度(主たる受験資格のみ)
- 5年以上継続して日本臨床検査医学会の会員であること。
- 日本臨床検査医学会の定める研修プログラムにより、5年間の研修を終了していること。
- 日本臨床検査医学会の認定する認定研修施設において、以下の内容の全てを含む研修を、2年以上終えていること。臨床検査医学総論、一般臨床検査学、臨床血液学、臨床化学、臨床微生物学(感染症学を含む)、臨床免疫学、輸血学。
- 臨床検査室等での日常業務内容を証明する。各種のコンサルテーション記録、骨髄像報告書、免疫電気泳動報告書、染色体分析報告書、その他の臨床検査医による解釈・コメント付き検査報告書、On-Callカンファレンス記録等20編を提出すること。
- 臨床検査医学(臨床病理学)に関する筆頭者としての、学会報告、または原著論文が3編以上あること。
- 研修指導者の推薦があること。
日本病理学会 病理専門医制度(主たる受験資格のみ)
- 死体解剖保存法による死体解剖資格を取得していること。
- 出願時3年以上継続して日本病理学会員であること。
- 病理専門医受験申請時に、厚生労働大臣の指定を受けた臨床研修病院における臨床研修を終了していること。
- 日本病理学会の認定する研修施設において、4年以上人体病理学を実戦した経験を有していること。また、その期間中に病理診断にかかわる研修を終了していることとし、『その細則は別に定める』。
- 人体病理学に関する原著論文または学会報告が3編以上あること。
- 人格・識見に関する研修指導者の推薦があること。
- 人体病理業務に専任していること。
日本臨床細胞学会 専門医/指導医制度(主たる受験資格のみ)
- 医師、歯科医師資格取得後5年以上の者。
- 日本臨床細胞学会歴3年以上の者。
- 細胞診断学並びに細胞病理学に関する論文3編以上を持ち、そのうち1編は筆頭者であること。発表論文の中で少なくとも1編は論文査読性の取られている学術誌で発表していること。
日本呼吸器学会 認定専門医制度(主たる受験資格のみ)
- 4年以上継続して呼吸器学会の会員であること。
- 内科学会認定資格を取得した年度も含めて3年以上、学会認定施設において所定のカリキュラムで呼吸器病学の臨床研修を行ったもの。
- 非喫煙者であること。
日本感染症学会 認定専門医制度(主たる受験資格のみ)
- 日本感染症学会会員歴5年以上であること。
- 内科学会認定医に認定された後、その研修年限を含めて6年以上を経た者。
- 感染症の臨床に関して、一定以上の経験があること。
Infection Control Doctor(主たる受験資格のみ)
- ICD制度協議会に加盟している学会の会員であること。
- 医師歴が5年以上で、病院感染対策に関わる活動実績があること。
日本血液学会 専門医制度(主たる受験資格のみ)
- 日本内科学会認定医または日本小児科学会認定医である者。
- 日本内科学会または日本小児科学会の認定医を取得後、本学会が認定した研修施設において臨床血液学の研修を3年以上行った者。
- 申請時に継続して3年以上本学会会員である者。
- 臨床血液学に関係した筆頭者としての学会発表または論文が2つ以上ある者。