Department of LABORATORY MEDICINE
研究活動: OBコメント
森永芳智
森永 芳智
(富山大学学術研究部医学系微生物学講座 教授)
いち“卒業生”から

 2006年から2020年の間、病院の検査部そして大学の教室の一員としてお世話になり、大きく移り変わり成長していく過程をご一緒させていただきました。大学院生としての研究生活から始まり、教員としてのスタッフ生活まで多くの学びがありました。直接的には一般・生化学検査、生理検査、微生物検査を担当しましたが、幅広くお仕事に携わらせていただいたことは視野を広げることとなりました。その中で、検査部門の安定的な力そのものが当たり前の日常診療を実現している、その中心部分を共感できた経験は、一医療人としての貴重な糧となっています。
 臨床検査医学の面白いところは、なんといってもサイエンティフィックに症例をとらえるところです。ひとつの気づきが持つ生物学的な意義を考え、他の検査所見と照合し、必要があれば自分たちで確かめる。臨床に還元して理解を示していただいたときの達成感は、チームとして最高の喜びでもありました。また、膨大に蓄積されたデータを活用するという、これまでをこれからに活かす大切さも知りました。これらには質を維持した日々の解析・管理が前提で初めて気づくことができるもので、検査に携わる医師と臨床検査技師との協力次第でいくらでも大きくできることだと考えます。
 いま、富山大学に移り、これまでの経験を活かして微生物学の教育・研究を組み立てているところです。これまでと比べると小さな組織ですのであらゆることがチャレンジングに感じられ、検査部生活の頃のように、リレーマラソン、バレーボール、バスケットボール、野球・・・、はまずもってどうにもできません。少しだけ触れると、出入りする学生さんと一緒に開拓をすることから始めました。もう一点、微生物学の教育に検査医学の考え方を取り込んでいこうとしています。これからの時代は、検査のことがわかる、検査室からのメッセージがわかる医療従事者が必要であろうと信じて。
 臨床検査技師としての日々の検査業務ならではの緊張感、医師の検査マネジメントは、他の業種や臨床医とは異質なところがあるのも事実です。ただ、冷静に物事を見定める、少し先を見通すという、安全で安心な検査を提供していく面白みもあります。厳しい場面もありますが、ちょっと不安があったりや落ち込んでいるときに、大所帯の中でちゃんとこっそり見ていて話を聞いてくれる人もいます。歴史ある検査部・臨床検査医学は、これからも次の世代を支える人材を輩出できるところです。いまチームとしていらっしゃる皆さん、そしてこれから未来に入ってこられる皆さん、遠くからですがずっと応援しています。
宇野直輝
宇野 直輝
 2011年から2021年までの10年間長崎大学病院検査部で勤務しました。現在、University of Connecticut Health Center, Department of Biomedical Engineeringで核酸検査の開発研究に従事しています。長崎大学病院検査部では教育実務担当教官として臨床検査医学の教育を担い、臨床面では免疫血清検査室の運営を担い、研究面では 遺伝子検査の研究を進めました。研究に専念するために渡米しましたが、長崎の生活がとても懐かしいです。
 長崎大学病院検査部には充実した分子細胞生物学設備があり、臨床検体を用いる研究を進めることができました。診療科との協力体制も良好です。長崎を離れて、その恵まれた研究環境を痛感しています。できることならば、また長崎で働きたいです。
長岡健太郎
長岡 健太郎
(北海道大学病院内科Ⅰ)
検査部での研究生活を振り返って

 2011~2012年度の2年間、当教室にて研究生活を送らせて頂きました、現在北海道大学病院内科Ⅰ(呼吸器内科)に所属している長岡健太郎と申します。

 検査部では、マウス、細胞、遺伝子といった感染症研究の主要分野に、それぞれ充実した設備と実績があり、2年間研究に没頭することができました。
 当時は常に研究のことが頭にあり、自宅への帰り道や当直先の病院でもアイディアがぷかぷかと浮かび、それを実験で確認する日々でした。素人の思い付きのような稚拙なアイディアも少なくない中で、栁原教授をはじめ、スタッフの方々が真摯に研究内容に目を向けて頂き、データが形になるまで最大限にサポート頂いたことを、改めて大変感謝しております。(現在、恩を仇で返さぬよう鋭意論文執筆中の日々を送っています)

 現在、様々な研究分野で「創薬」をキーワードにした活動が盛んとなっております。しかしながら、一部の感染症の分野においては、「検査・診断」が重要であり、今後更なる発展が期待される分野であると感じます。検査部の研究を通じて、「検査・診断」の何たるかを徹底的に勉強する機会を得たことは、研究のみならず臨床面においても極めて貴重な経験ができたものと考えております。

 最後になりますが、貴教室の今後のますますのご発展を祈念いたします。
右山洋平
右山 洋平
 2011年4月から2013年3月までの2年間、感染症の勉強と研究をさせていただきました。スタッフ全員が臨床と研究に熱心に取り組んでおり、微生物や細胞、遺伝子などそれぞれの分野のエキスパートからアドバイスを頂けるとても恵まれた環境でした。実験は全くの初心者でしたが、皆で研究を進めていくことへの意識が高く、多くの方々の親身な指導とサポートのおかげでスムーズに実験を進めることができ、短期間で論文を完成することができました。また、これまであまり接する機会のなかった様々な分野の人達や他大学からの国内留学生と交流できたのは、今後の臨床・研究を続けていく上で、とても貴重な経験だったと思います。
 この充実した2年間の経験を忘れず、さらに発展させて難治性感染症の臨床や研究に貢献できるよう、今後も日々研鑽を重ねていきたいと思います。
山田康一
山田 康一
 長崎を離れてはや半年以上が経過し、検査部の大学院生として過ごした日々を懐かしく思うこのごろです。大学院に入った当初は何もわからず、ただ実験して結果が出ないことの繰り返しでした。しかし、栁原先生、森永先生の御指導のもと徐々に研究の奥深さと知り、それとともに結果もつき、論文も書くことができました。また、数多くの菌種を取り扱い研究できたことで幅広くいろんな研究ができたと思っています。その成果どうかはわかりませんが、2013年4月から新設された大阪市立大学医学部付属病院の感染制御部で上司の掛屋先生とともに2人で関西人を相手に毎日格闘しています(大げさですが)。仕事の内容は院内感染制御とサーベイランス業務、そして院内コンサルテーション業務がメインとなっています。菌のアウトブレイクが起きた場合は原因特定のために医療疫学の知識が不可欠ですが、大学院時代に行った臨床研究がかなり役立っております。

 最後に栁原先生をはじめとした検査部スタッフの方々、大変お世話になりました。今後もよろしくお願いいたします。