先進医療承認状況(厚生労働大臣承認)

多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術

 人口の高齢化に伴い、白内障患者数は増加しています。近年、高齢の方も読書やパソコンに慣れ親しむことは日常的であり、屋外での活動も多く、白内障患者においても同様のライフスタイルが望まれます。しかしながら、これまで水晶体再建術時に挿入されている眼内レンズの多くは単焦点眼内レンズのため、術後も眼鏡、特に近用眼鏡を必要とすることが多く、日常生活を始め、知的活動や屋外活動に支障をきたしています。しかし、先進医療として行われる「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」を行うことで、この様な問題が軽減できるようになりました。
 多焦点眼内レンズは、視力補正のために水晶体の代用として眼内に挿入されるレンズである点では、従来の単焦点眼内レンズと変わりありません。しかし、単焦点眼内レンズの焦点は遠方又は近方のひとつであるのに対し、多焦点眼内レンズはその多焦点機構により遠方及び近方の2か所に焦点を合います。術式は、従来の眼内レンズと同様に、現在主流である小切開創から行う超音波乳化吸引術で行います。
 単焦点眼内レンズを使用する従来の白内障手術では、調節力が失われます。その為、単焦点眼内レンズでは遠方又は近方のいずれに焦点を合わせるのかを決める必要があり、焦点が合わない距離については眼鏡が必要となります。多焦点眼内レンズを使用すると、単焦点眼内レンズと同程度の遠見時の裸眼視力に加え、単焦点眼内レンズでは得られない近見視力が同時に得られ、それにより眼鏡依存度が軽減されます。

多焦点眼内レンズの見え方
多焦点眼内レンズの見え方

術後のホルモン療法及びS-1内服投与の併用療法

乳がん手術後の治療

乳がん手術後の治療は再発防止のため抗がん剤やホルモン剤などが用いられます。しかし、「ホルモン受容体が陽性で、かつ、HER2が陰性」の原発性(転移等ではなくその部位で最初に発症したもの)乳がんについてはホルモン剤単独療法と、ホルモン治療の前に抗がん剤を投与 することによる上乗せ効果ははっきりとはしていません。

従来の治療法より高い抑制効果

この先進医療では、従来のホルモン療法の治療に加え、S-1という抗がん剤を1年間併用します 。これにより、がんの再発を抑える効果が期待できると考えています。

対象者

  • 浸潤がんと診断された方
  • エストロゲン受容体陽性 HER2陰性乳がんで再発リスクが中間以上の方
  • 初診時の病期がI~IIIA及びIIIBで根治施術が施行された方

歯周外科治療におけるバイオ・リジェネレーション法

歯周治療において歯周病が重度に進行した場合、歯周外科手術(フラップ手術)が必要になることがあります。フラップ手術は歯周ポケット周囲の炎症組織を外科的に切除し、歯石や細菌毒素によって汚染された根面を無毒化することにより、歯肉と根面を再び付着させ歯周ポケットを除去する手術法です。フラップ手術により歯周病は改善しますが、この方法では歯槽骨の再生はわずかしか起きないことがわかっています。さらにフラップ手術による歯肉と根面の付着はあまり強くなく、歯周ポケットの再発がおきやすいと言われています。
  先進医療「歯周外科治療におけるバイオ・リジェネレーション法」は加熱生物製剤エナメルマトリックスデリバティブ(エムドゲイン®ゲル,図1)を歯周病によって生じた垂直性の骨欠損部に応用することにより、歯周組織を再生させる方法です。エムドゲイン®ゲルはブタの歯胚(歯を作る器官)抽出物で、その中に含まれる成長因子が歯周組織に作用し、歯の発生機構を模倣することにより失われた歯槽骨やセメント質添加を伴った歯周靭帯を再生させると考えられています。このようにして再生した歯周組織は長期間にわたり安定し、機能することが示されています。
 尚、「歯周外科治療におけるバイオ・リジェネレーション法」の対象となる骨欠損の形態は限られており、その適応症となるかどうかは主治医による詳細な診査が必要です。

図1 エムドゲイン®ゲル

ペメトレキセド静脈内投与及びシスプラスチン静脈内投与の併用療法 肺がん

肺がん手術後の治療

完全に切除された非小細胞肺がんの手術後の抗癌剤治療には、通常は進行・再発非小細胞肺がんに対する有効性および安全性が確立している「ビノレルビンとシスプラチンの併用療法」を使用してきました。

従来の治療法を応用

「ペメトレキセドとシスプラチンの併用療法」は、進行非扁平上皮非小細胞肺がんに対する有効性および安全性が確立している治療法です。 この先進医療は、この治療法を術後の非扁平上皮非小細胞肺がんの再発予防に応用したもので、従来の治療法に比べて生存期間を延長する効果が期待され、新しい術後化学療法としての有用性が期待されています。

治療法

A群:1日目にビノレルビン(25mg/m2)とシスプラチン(80mg/m2)を、8日目にビノレルビン(25mg/m2)を点滴で投与します。これを3週毎に4回投繰り返します。
B群:1日目にペメトレキセド(500mg/ m2)とシスプラチン(75mg/m2)を点滴で投与します。これを3週毎に4回投繰り返します。
この先進医療にご協力いただける方は、A群またはB群のいずれかに無作為に割り付けられ、割り当てられた治療法を受けていただく事になります。

「金属代替材料としてグラスファイバーで補強された高強度のコンポジットレジンを用いた三ユニットブリッジ治療」

本治療法の概要

臼歯部に一本歯を失くした場合のブリッジの治療は、現在は歯科用金属を使用してブリッジの被せ物を行うことが一般的です。本治療はグラスファイバーと強度が優れた樹脂を併用しブリッジの被せ物を作製します。ブリッジの連結部分は噛み合わせた時にかかる力に一番脆く、従来は歯科用金属で補強されています。本治療ではその代わりにグラスファイバーを使用することによって、ブリッジの機械的性質の強化が図られています。また、金属を使用しませんので審美的に優れているだけでなく、金属アレルギーの方にも使用できる特長を有しています。

インターフェロンα皮下投与及びジドブジン経口投与の併用療法
成人T細胞白血病リンパ腫(症候を有するくすぶり型又は予後不良因子を有さない慢性型のものに限る。)」

概要

 成人T細胞白血病・リンパ腫(Adult T-cell leukemia-lymphoma:ATL)は、九州・沖縄地方を中心とする西南日本に多発する血液腫瘍です。ATLは、診断後、急性型、リンパ腫型、慢性型、くすぶり型の4つの病型に分類されます。慢性型はさらに、血液検査所見により、予後不良を有する慢性型と有さない慢性型に分けられます。
 急性型、リンパ腫型、予後不良因子を有する慢性型のATLは、一般的には、診断後早期に治療(抗がん剤治療)の対象となります。新薬や同種造血幹細胞移植の導入により、全身療法の成績の改善が期待されていますが、ATLに対する全身療法の成績は十分とは言い難いのが現状です。
 くすぶり型および予後不良因子を有さない慢性型のATLは、全身療法を行わずに経過観察すること(Watchful Waiting)が標準的とされています。しかしながら、一定の割合で急性型やリンパ腫型に進展し、全身療法が必要となります。
 一方、海外(アメリカ、フランス、イギリスなど)では、くすぶり型や慢性型ATLに対して、Watchful Waitingのみならず、インターフェロンαと抗ウイルス薬であるジドブジンの併用療法(IFNα/AZT療法)も標準治療の1つに位置づけられています。しかし、この治療は、十分な科学的根拠に基づいているわけではなく、我が国でもこれらの薬剤は健康保険では認められていません。

目的

 くすぶり型、および予後不良因子を有さない慢性型ATLに対する IFNα/AZT療法 が標準療法である Watchful Waiting と比べて有効であるかどうかを検証するために、日本臨床腫瘍研究グループのリンパ腫グループが多施設共同試験として本試験を行います。現在IFNα、AZTともにATLに対する保険適応は有さないため、先進医療(先進医療 B)の制度下で行います。

治療

A群(標準治療群:Watchful waiting):全身療法は行わずに経過観察します。
B群(試験治療:IFNα/AZT療法):IFNαの皮下注射と、AZTの内服を併用した治療を継続して行います。
この先進医療にご協力いただける方は、A群またはB群のいずれかに無作為に割り付けられ、割り当てられた治療法を受けていただく事になります。

早期浸潤性子宮頸癌に対する腹腔鏡下広汎子宮全摘出術

 先進医療「早期浸潤性子宮頸癌に対する腹腔鏡下広汎子宮全摘出術」
早期の子宮頸がんでは、広範囲に子宮を摘出するとともに、転移の可能性がある骨盤リンパ節をすべて取り除く手術が行われます(広汎子宮全摘出術)。保険診療下では、この手術は開腹手術で行われますので、おへその少し上から恥骨までおなかに創が残ります。また、腸閉塞などの術後合併症がおきてしまうことも少なくありません。おなかに開けた1センチ程度の数か所の穴からいれた手術用の器械を用いて行われる腹腔鏡下手術では、開腹手術の欠点を少なくすることができます。また、腹腔鏡下手術にはそれ以外にも、カメラを通して手術野に超接近することで、肉眼では得難い拡大視野を得られるという最大のメリットがあります。広汎子宮全摘出術は本来、子宮や腟のごく近くにある膀胱の働きを司る神経も一緒に切除せざるを得ず、術後の排尿障害が不可避な術式でした。近年では排尿に関わるこれらの自立神経群を温存した自立神経温存広汎子宮全摘出術が導入されています。ただし、これら神経群を肉眼で確認することは決して容易ではありません。拡大視野が得られるという腹腔鏡下手術の利点を用いて、より緻密にそれら神経を確認し、その温存を高い精度で行うことができます。このおかげで、婦人科がん手術の歴史の中で長年の懸案であった、広汎子宮全摘出術後の排尿障害という重大な後遺症の発生を少なくすることが期待できます。
 近年、子宮頸がんの患者さんは若年化しています。がんを克服したあとの長い一生の生活の質(QOL)を保つために、もっとも期待されているのがこの新術式です。