精密医療機器対応の次世代洗浄装置
メディカル・ナノ・ウォッシャーの製品完成発表

長崎大学と株式会社クリプトン(東京)、協和機電工業株式会社(長崎)は、精密医療機器に対応した次世代洗浄装置「メディカル・ナノ・ウォッシャー」を開発し、9月21日(金)に製品完成の発表を行いました。

現在、外科手術で使用される医療機器のなかでも、硬性内視鏡や内視鏡用鉗子など、非耐熱性のもの、構造が複雑なものは通常の機械では洗浄できず、手洗いを行っていますが、洗浄剤による作業者への悪影響や機器の劣化、不十分な洗浄による二次感染リスクが問題となっています。

今回の製品の開発で、電解アルカリ水と酸性水を連続的に使用することで、医療機器に付着した病原体を効果的に除去しうることを基礎実験や動物実験で証明し、製品化に当たっては、超音波処理も加えてより強力な洗浄効果を持たせることに成功しました。
「メディカル・ナノ・ウォッシャー」のコンセプトは次の4つ。

  1. 全自動:全自動かつ短時間で安全確実に洗浄、除菌を実現する。
  2. 洗浄剤不使用:洗浄剤を使用しないため、人体への健康被害がない。
  3. 常温・常圧:常温・常圧で動作し、精密医療機器の劣化、破損を防ぐ。
  4. 環境に配慮:塩と水のみを使用しており、環境に優しい。

なお、今回の製品の開発は、平成24年度に経済産業省が募集した「課題解決型医療機器等開発事業」に採択された「2次感染及び作業管理問題を解決する硬性内視鏡用洗浄・消毒医療機器の改良」というテーマに端を発し、長崎大学、協和機電工業株式会社(長崎)、株式会社クリプトン(東京)の3者による産学連携事業として取り組んでまいりました。
このたび、厚生労働省により医療機器として認定された第一号機を長崎大学病院に導入する運びとなりました。今後、性能確認のための最終臨床試験を行ったうえで早期に市販する予定です。