センター長あいさつ

  臨床研究センター長 山本弘史
  臨床研究センター長
山本 弘史
   

 平成27年度を迎え、日本の臨床研究には全面改正された新しい国の「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」が4月1日から適用され、新しい時代に入りました。種々の環境が厳しく変化するなかで、大学が臨床研究を進めていく必要性と責任はますます重くなっていくと考えられます。
 長崎大学病院臨床研究センターは、長崎大学が臨床研究において負託されている責任を果たすべく、今年度は次のような取組を進めてまいります。
 第一に、新しい倫理指針を着実に履行するために、臨床研究のうち高度なもの(介入および侵襲を伴うもの)についてのモニタリングと監査を実施する仕組みを新たにつくり、本年10月には実施できるようにします。また、長崎大学病院研究倫理委員会が、国の指針に沿って的確かつ質の高い審査ができるように、倫理審査に事前チェック制などを採り入れ、その効率化、充実を進めます。また、新たに義務となった臨床研究に関わる教職員、倫理審査委員会委員などに対する継続研修についても、プログラムを作成して実施します。
 第二に、病院の中で質の高い臨床研究が活発に行われるように、病院内の研究者に対する研究計画立案段階での支援を充実させ、研究計画書(プロトコル)の質が向上するようにします。さらに、長崎大学自らが主導する多施設臨床研究および医師主導治験については、可能な範囲で、実施に関しても支援を進める予定です。このような支援業務の経験を重ねながら、臨床研究コーディネート(CRC)およびデータ・マネジメント(DM)業務の体制を充実させます。また、このような臨床研究や治験の着手につながるよう、研究シーズについて長崎大学内の関連する部門(医学部、歯学部、薬学部、工学部、熱研、原研など)との連携を進めます。
 第三に、医薬品医療機器等法(旧・薬事法)に定められた治験については、長崎大学は従来から高いレベルの実績を挙げてきましたが、今年度も着実に実施します。長崎県は、長崎県医師会に設けられた「ながさき治験医療ネットワーク」が継続的に活動しているなど、地域での治験への取組も大きな特色ですが、長崎大学病院の治験審査委員会(IRB)がその中央IRBとして役割を果たすようにする等、長崎県全体の治験の活性化にも積極的に寄与していきます。
 第四に、我が国全体および国際的なネットワークの中で、長崎大学が役割を的確に果たせるような取組を進めます。臨床研究センターで収集した情報が的確に大学病院等の運営に反映されるようにするとともに、国内他大学などとの協力を進めます。とくに九州ブロック内での連携について中心に取り組みます。国際的な取組のひとつとして、本年3月、長崎大学病院は、我が国で初めて、FERCAP(Forum of Ethical Review Committee in Asia and West-Pacific,アジア西太平洋地域倫理審査委員会フォーラム)の認証に関するサーベイランスを受審し、倫理審査に関して多大な示唆を得ることができましたが、今後、この認証を取得するとともに、FERCAPの活動にも積極的に参画していくこととします。
 このような取組を進めて、臨床研究センターが役割を果たすためには、長崎大学病院内外関係者の皆様のご理解とご協力が不可欠です。ご質問、ご意見などありましたら、どのようなことでも、お寄せいただければ幸いです。

 

平成27年 4月
長崎大学病院臨床研究センター長 山本 弘史