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治験概要

治験の目的

本治験は、無症状及び軽症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の 患者さんに対して、ネルフィナビルを使用する新規治療法において、ウイルス量の変化、臨床症状の改善、有害事象発現を評価し、ネルフィナビルの新型コロナウイルス感染症(COVID-19) に対する抗ウイルス効果、臨床的有効性及び安全性を評価することを目的としています。

治験薬(ネルフィナビル)について

ネルフィナビルは、エイズウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬で、ウイルスの成熟を阻止する作用があります。エイズウイルスのプロテアーゼという酵素の働きを阻害することで、細胞に感染性を持つ成熟ウイルスへの移行を阻止します。これにより、新たな細胞への感染が起こらなくなり、エイズウイルスの増殖が抑制されます。このような作用から「プロテアーゼ阻害薬」と呼ばれています。

ネルフィナビルは、エイズウイルスの増殖を抑える抗HIV薬として世界で使用されており、日本では2009年から2019年の販売終了までHIVの患者さんに使用されていました。

ネルフィナビルは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者さんへ投与したことはありませんが、細胞に新型コロナウイルスを感染させた実験で、ウイルスを減らす効果があったことから、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する抗ウイルス薬として高い有効性が期待できると考えられています。

さらに、新型コロナウイルス感染症の患者さんの重症度の違いによるウイルス量動態変化の報告に基づくシミュレーションから、HIV 治療におけるネルフィナビルの用法・用量で、ウイルス排除期間の短縮が期待されます。

治験デザイン

本治験は、医師主導、多施設共同ランダム化非盲検並行群間比較試験で実施します。

治験に参加いただける方

【選択基準】
今回の治験では、次の全ての事項に該当する方に参加をお願いしています。

(1)同意取得時に20 歳以上の日本人の方(男女の性別は問いません)

(2)同意取得前3 日以内に上下気道由来検体からPCR 検査又はLAMP 法でSARS-CoV-2 が検出された方、又は抗原検査が陽性であった方

(3)説明文書の内容、その他、治験に関する事項について十分な説明を受け、その内容を理解し、本治験への参加について自由意思に基づく文書による同意が得られた方



【除外基準】
次のいずれかの事項に該当する方は参加いただけません。

(1)登録時点で症状出現から8 日以上経過している方

(2)経皮酸素飽和度(SpO2)が96%未満(室内気)の方

(3)スクリーニング時検査において以下のいずれかに該当する方
1)ALT 又はAST が基準値上限の5 倍を超える 2)Child-Pugh 分類B 又はC に該当する 3)血清クレアチニンが基準値上限の2 倍を超え、且つクレアチニンクリアランスが30 mL/min 未満*の場合
*Cockcroft-Gault 式による推定クレアチニンクリアランス値。ただし実測値がある場合は実測値を用いる。

(4)コントロール不良の糖尿病の方(糖尿病の治療を受けているにもかかわらず、随時血糖が200 mg/dL 以上又はHbA1c が7.0 %以上の糖尿病の方)

(5)重篤な疾患を合併しており、治験対象として治験責任医師又は治験分担医師が不適当と判断した方

(6)血友病患者又は著しい出血傾向のある方

(7)高度な下痢症状がある方

(8)被験薬の成分に対し過敏症の既往歴のある方

(9)授乳中、妊娠中、又は妊娠の可能性がある女性の方

(10)被験薬初回投与日から治験参加の期間、適切な避妊法を用いることができない方(男性及び女性は妊娠の可能性がある女性)

(11)リファンピシンを同意取得前2 週間以内に服用した方

(12)同意取得前12 週以内に他の治験又は臨床試験に参加し投薬を受けた方

(13)HIV 感染症治療中の方

(14)新型コロナワクチンの接種歴のある患者、治験参加中に新型コロナワクチンの接種を希望する患者

(15)その他、治験責任医師あるいは治験分担医師が不適当と判断した方