長崎大学病院脳神経内科

学生・若手医師の皆さんへ

研修方針について

神経内科の教育方針

「神経内科はおもしろい!」
 まずは患者さんとよく向き合って、診察をしましょう。最初の目標は神経学的所見をとれるようになることです。少しの道具と腕一本で、いろいろな病態を把握することができるようになります。患者さんの問診を丁寧にとり、よく触れ、考えていくことで、医学、内科学の原点を学ぶことができます。座学での「とっつきにくい」神経内科とは少々異なった、「おもしろい」神経内科をいっしょに学びましょう!  中堅の主治医の先生、専門医である指導医たちが手厚く指導します!  さらに、新・総合内科専門医試験に対応したサマリー作成を目標にし、余裕がある方は学会発表などもいかがでしょうか!

脳卒中センターの教育方針

1.超急性期から脳卒中チーム医療
 例えば、脳梗塞の急性期治療であるtPA静注療法(図1:tPA施行件数)や脳血栓回収療法(図2:脳梗塞急性期治療)は、1人ではできません。まずは、救急隊や近隣の病院との連携から始まり、院内においては脳神経内科、脳神経外科、看護師、放射線技師、検査技師が一体となり、「早期治療達成」という共通のゴールに向かって力を合わせ、邁進する必要があります。なぜなら、より早く、治療を達成することが、患者さんの予後に直接影響するからです。
 さらに、入院後はリハビリテーションスタッフも仲間に加わり、1人の患者さんを多職種のスタッフで診療していきます。
 脳神経内科医はこの大きなチームのリーダーです。脳卒中研修ではチーム医療の重要性を強く感じることができると思います。
図1
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図2
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2.高次脳機能を含めた神経診察
 当たり前な話。脳卒中は脳の病気です。麻痺や感覚障害、小脳症状はもちろんのこと、失語、失行、失認といった高次脳機能障害を呈した患者さんがいらっしゃいます。高次脳機能障害を私達が診察するのは、患者さんを理解するためです。病巣の広がりを考えるのみならず、患者さんが何に困っているか、ということを理解することは実臨床で重要です。患者さんを理解することは患者さんの症状に合わせたケアに繋がります。医療スタッフで症状を共有し、患者さんにできるだけ精神的ストレスが無いように、ケアを工夫します。高次脳機能障害を持つ患者さんの診療を通して、脳卒中チーム医療を体感できると思います。
3.診断から治療まで -技術を駆使する-
 神経診察技術は言うに及ばず、私達の得意な診断技術は超音波検査です。救急外来で、病棟で、病型診断のために、超音波検査を駆使しています。頸動脈病変を評価する頸動脈エコー、頭蓋内脳血管病変を評価する経頭蓋カラードプラ、塞栓源検索のための経食道心エコー、下肢静脈エコー、スクリーニングの経胸壁心エコーが習得できます。
 そして、脳梗塞急性期は再開通療法があります。tPA静注療法と脳血栓回収療法です。早期に閉塞血管を再開通させ得ることが、ダイレクトに患者さんの予後につながります。現在は、ほぼすべての脳血栓回収療法に当科が関わっています。脳神経外科のサポートを頂きながら、目の前の患者さんのより良い予後のために一致団結して治療にあたっています。
3.診断から治療まで -技術を駆使する-①
3.診断から治療まで -技術を駆使する-②
4.脳卒中学を体感する
  脳卒中学とはベッドサイドの学問です。病歴、神経所見から脳のどこに病変が有るか考える。そして、画像検査でその病巣を確認する。脳卒中は、その診察が診断に結びつく、内科らしい疾患だと思います。
 また、脳卒中の患者さんは、合併症を有していることが多くあります。高血圧、糖尿病、高脂血症、虚血性心疾患、心不全、など。これらの疾患についても、我々は間違いのない診療をしなければなりません。総合内科医としての能力も磨かれると、つねづね思っています。
 一人の脳卒中患者さんを診療するのと同時に、我々も多くのことを学ばせていただく。ベッドサイドの学問である脳卒中学を一緒に学びましょう。
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