看護師特定行為研修の研修概要
■ 目的 ■
特定行為研修を通して、急性期医療から在宅医療まであらゆる領域において、安心・安全を保障しながら高度な臨床実践能力を発揮し、チーム医療のキーパーソンとして機能できる看護師を育成する。
■ 目標 ■
1.
迅速かつ包括的なアセスメントを行い、特定行為を行ううえでの知識、技術などの基礎的能力を身につける。
2.
必要な治療を理解し、ケアを導くための基礎的能力を身につける。
3.
患者の安全に配慮しつつ、必要な特定行為を安全に実践できる基礎的能力を身につける。
4.
問題解決にむけて多職種と協働する能力を身につける。
5.
特定行為研修修了生としての責任を自覚し、自己研鑽に努める能力を身につける。
■ 研修期間 ■
毎年 6月1日 〜 翌年5年5月31日 1年間
共通科目を修了後に区分別科目*を受講開始します。 (*複数選択可)
なお、在籍期間は最長2年間とします。
■ 研修内容と時間数 ■
研修は、共通して学ぶ「共通科目」と特定行為区分ごとに学ぶ「区分別科目」に分かれており、講義、演習、実習を行います。
1)
共通科目(必修科目)
特定行為区分に共通して必要とされる能力を身につけるための科目 (研修期間:5か月)
共通科目 時間数
(講義、演習、実習、評価)
臨床病態生理学 31時間
臨床推論 45時間
フィジカルアセスメント 45時間
臨床薬理学 45時間
疾病・臨床病態概論 41時間
医療安全学/特定行為実践 45時間

講義

e-ラーニングを中心とし、確認テストを実施します。100点を取るまで確認テストを繰り返し実施し、合格して修了となります。

演習

関連するe-ラーニング講義を履修したのち実施し、指導者の観察評価により合格基準を満たして修了となります。

実習

関連する講義・演習を履修したのち実施し、指導者の観察評価により合格基準を満たして修了となります。

評価

講義、演習、実習全てを修了後、科目筆記試験を実施し、合格したものを共通科目履修修了とします。

2)
区分別科目(必修科目)
各特定行為に必要とされる能力を身につけるための科目(研修期間:7か月)
特定行為区分 時間数(講義、演習)+ 症例数(実習、評価)
呼吸器(気道確保に係るもの)関連 9時間+5症例
呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連 29時間+20症例
呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連 8時間+5症例
動脈血液ガス分析関連 13時間+10症例
ろう孔管理関連 22時間+10症例
創傷管理関連 34時間+10症例
創部ドレーン管理関連 6時間+5症例
栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連 16時間+10症例
腹腔ドレーン管理関連 8時間+5症例
栄養に係るカテーテル管理(中心静脈カテーテル管理)関連 7時間+5症例
在宅・慢性期領域パッケージ研修 61時間+20症例

講義

・e-ラーニングを中心とし、確認テストを実施します。100点を取るまで確認テストを繰り返し実施し、合格して修了となります。

・全ての講義を履修したのち、科目筆記試験を実施し、合格後に演習に進みます。

演習

・関連する科目筆記試験に合格したのち演習または実技演習を実施します。

実技試験

・実技試験のある科目に関しては、患者に対する実技実習の前に実技試験(OSCE)に合格する必要があります。

実習・評価

患者に対する実技は、関連する講義・科目筆記試験・演習を履修したのち実施し、指導者の観察評価により合格基準を満たして修了となります(上記の時間数に実習時間は含みません)。

*実習は、長崎大学病院の他、条件を満たせば自施設でも行うことができます。

講義、科目筆記試験、演習、実習全てを修了したものを履修修了とします。

■ 区分別科目の受講の選択 ■
令和6年度より『腹腔ドレーン管理関連』及び『栄養に係るカテーテル管理(中心静脈カテーテル管理)関連』を追加し10区分を実施予定です(特定行為研修区分変更申請中)。また『在宅・慢性期領域パッケージ研修』についても実施いたします。
特定行為区分 特定行為
呼吸器(気道確保に係るもの)関連 ・経口用気管チューブ又は経鼻用気管チューブの位置の調整
呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連 ・侵襲的陽圧換気の設定の変更
・非侵襲的陽圧換気の設定の変更
・人工呼吸管理がなされている者に対する鎮静薬の投与量の調整
・人工呼吸器からの離脱
呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連 ・気管カニューレの交換
動脈血液ガス分析関連 ・直接動脈穿刺法による採血
・橈骨動脈ラインの確保
ろう孔管理関連 ・胃ろうカテーテル若しくは腸ろうカテーテル又は胃ろうボタンの交換
・膀胱ろうカテーテルの交換
創傷管理関連 ・褥瘡又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去
・創傷に対する陰圧閉鎖療法
創部ドレーン管理関連 ・創部ドレーンの抜去
栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連 ・持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整
・脱水症状に対する輸液による補正
腹腔ドレーン管理関連 ・腹腔ドレーンの抜去(腹腔内に留置された穿刺針の抜針を含む。)
10 栄養に係るカテーテル管理(中心静脈カテーテル管理)関連 ・中心静脈カテーテルの抜去
領域パッケージ研修 特定行為
在宅・慢性期領域パッケージ研修 ・気管カニューレの交換
・胃ろうカテーテル若しくは腸ろうカテーテル又は胃ろうボタンの交換
・褥瘡又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去
・脱水症状に対する輸液による補正
■ 修了要件 ■
本研修を修了するためには、次の条件を満たす必要があります。
1)
共通科目を全て履修し、科目筆記試および観察評価に合格すること
2)
1)修了後、選択した区分別科目を履修し、一部の科目では実技試験に合格すること
※本研修修了者には、保健師助産師看護師法第37条の2第2項第1号に規定する特定行為及び同項第4号に規定する特定行為研修に関する省令に基づき、修了した特定行為区分ごとの終了証を交付し、研修修了者の名簿を厚生労働省に提出します。
■ 研修スケジュール ■
■ 受講料 ■
1)
共通科目および区分別科目(特定行為区分・領域パッケージ研修)の受講料と材料費
科目 受講料
(消費税込)
材料費
(消費税込)
合計
(消費税込)
共通科目 530,000円 530,000円
特定行為区分 
 呼吸器(気道確保に係るもの)関連 37,000円 3,000円 40,000円
 呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連 117,000円 117,000円
 呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連 33,000円 7,000円 40,000円
 ろう孔管理関連 103,000円 16,000円 119,000円
 創傷管理関連 135,000円 13,000円 148,000円
 創部ドレーン管理関連 35,000円 5,000円 40,000円
 動脈血液ガス分析関連 51,000円 30,000円 81,000円
 栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連 60,000円 60,000円
 腹腔ドレーン管理関連 38,000円 6,000円 44,000円
 栄養に係るカテーテル管理(中心静脈カテーテル管理)関連 38,000円 10,000円 48,000円
領域パッケージ研修
 在宅・慢性期領域パッケージ 60,000円 29,000円 213,000円
 
*受講料と材料費の合計額を収めていただきます。
*収めた受講料等は原則として返還いたしません。
*振込手数料はご負担をお願いします。
*受講料等の支払いは納付金のお知らせに基づき、指定された口座へ振り込みをお願いいたします。
*研修のための宿泊及び交通費等は各自にて実費負担となります。
■ その他 ■
1)
履修内容の読み替え(履修免除)について
当院で既に履修した授業科目や時間数の取り扱い並びに受講時間数については、関連する科目の受講にあたり、特定行為研修管理委員会で判断し読み替えを決定します。また、共通科目の履修免除が認定された時は、共通科目受講料を免除します。
2)
長崎大学病院研修施設の利用について
自宅から通うことが困難で宿泊施設の利用を希望する方は、当院研修施設内の無料の宿泊室が利用できます。ご希望の方は、お問い合わせください。