日本医療研究開発機構エイズ対策実用化研究班「HIVの日和見感染症」
 
 
   
 
研究の背景及び目的について
 
 進行したHIV感染症では日和見感染症、日和見悪性腫瘍(以下 日和見合併症)を発症するようになり、指標疾患とされる23疾患を発症するとAIDSを発症したとされます。効果的な抗HIV薬の登場により、日和見合併症は減少すると考えられ、HIV感染症の動向や抗HIV療法の効果を見る上でも日和見合併症の動向を知ることはきわめて重要であります。本研究では日本におけるHIV感染者に見られる日和見感染症、日和見悪性腫瘍(以下、日和見合併症)の実態とその年次推移を明らかにし、日和見合併症の対策策定の基礎資料とすることを目的としています。
 また、長期生存に伴って、HIV感染者の悪性腫瘍の発生が問題となってきた事から、非指標悪性腫瘍の発生状況を知る事も重要事項となってきています。これまでの本研究でも日和見悪性腫瘍以外の悪性腫瘍の収集を行いましたが、多数の症例が報告されております。
 本調査研究は2015年度より厚生労働科学研究費エイズ対策研究班から、国立研究開発法人日本医療研究開発機構エイズ対策研究班となりました。エイズ対策研究事業のなかで継続的な調査研究が求められており、15年以上のデータが蓄積されております。この集積とフィードバックの効果もあり、日和見合併症の死亡率は低下してきているところであります。

研究の内容について
 
 本研究は多施設における対象患者について、すでに臨床で収集されたデータのみを用いる後方視の観察研究です。毎年全国HIV診療拠点病院(2015年度調査では381病院)に対して質問票を送付し、前年1月1日から12月31日までに診断したAIDS指標疾患23疾患を発症した患者さん情報および新規の悪性腫瘍の発生患者さんについて記載し、返送を依頼します。
 これらについて個人情報にあたる氏名、住所、生年月日、電話番号などを収集することは一切ありません。かつ、情報漏洩には細心の注意をはらいます。

研究成果の取り扱いについて
 
 これまでの研究成果の発表については日本医療研究開発機構エイズ対策研究事業研究報告書で公開されています(http://after-art.umin.jp/)。また、関連雑誌への投稿、学会発表はじめ広くデータを公開する予定です。ただし、個人情報を提供することは一切ありません。


 
日本医療研究開発機構 エイズ対策実用化研究班
 
泉川 公一
E-mail koizumik@nagasaki-u.ac.jp
【事務局】 長崎大学病院 感染制御教育センター
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