小児外来が
大切にしていること

病気や障害があってもその子らしく健やかに育つよう子どもと家族を支援する

小児救急看護認定看護師 M.U

小児外来の紹介

 小児外来には、小児科、小児外科の診療科があり、新生児期から成人期医療移行までの幅広い年齢、発達段階の患者さんが対象です。 入院を必要とする流行性感冒をはじめとした呼吸器感染症や下痢、嘔吐を伴う消化器感染症などの日常的な疾患から小児白血病などの血液腫瘍疾患、ネフローゼ症候群などの腎疾患、ファロー四徴症などの先天性心疾患、先天性代謝異常症、てんかんなどの神経筋疾患、食物アレルギーや気管支喘息などのアレルギー疾患、クローン病や全身性エリテマトーデスなどの膠原病、先天性胆道閉鎖症やヒルシュスプルング病などの外科疾患と様々で長期的に健康管理を必要とする疾患、加えて自宅で人工呼吸管理や吸引、経管栄養などの医療的ケアを必要とする子どもと様々な病気や障害をもつ子どもと家族の支援を行っています。



子どもの看護を通してのきづき

 子どもの看護をしていると、小児がんなどの病気をもつ子どもたちは、苦痛の強い治療や手術、検査などを受けられているなかで人を思いやる優しさ、苦痛や困難を乗り越える強さを育くんでいることに気づきました。病気や障害があっても成長していく、どんな時も成長している子どもの持つ強さに感銘をうけました。 



小児外来でのかかわり

 小児外来では、採血や点滴治療、骨髄検査など様々な処置を行っています。
乳幼児期においても採血を受けるのは元気にすごしていくために行っていることを伝え、「採血はどっちの手にする?」「座ってする? 寝てする?」などを聞き、子どもにも自己決定してもらうことを促し、自分のこととして治療に参加できるように働きかけています。達成できたら痛くともがんばったことを伝え、ご家族と共有して喜び、子どもの達成感や自己効力感を高める関わりをすることを大切にしています。トラウマではなく成長につながるように支援しています。採血を終え、得意顔で採血室を出ていく子どもの様子をみるのを嬉しく感じています。
 近頃、医療的ケア児といわれる自宅で人工呼吸管理や吸引、経管栄養や中心静脈栄養、導尿やストーマ管理などを行っている子どもが増えています。しかも、おひとりで複数の医療的ケアを必要としている子どもが4割近くいます。複雑なケアを必要とする子どもをご家族がケアしていくことは、家族みんなが揃って自宅で過ごせるという喜びとともに大きな負担があります。その子どもとご家族が安心して自宅で過ごされるように、入院時から病棟とのカンファレンスに参加し情報共有をはかり、多職種と連携して問題点を抽出し支援方法を検討しています。
 小児外来を定期受診されたときには、子どもの健康状態を把握し、ケアや生活状況に困難はないか確認し、必要な時には再指導しています。医療的ケアを担っているご家族にも疲労や健康障害が起こらないようにレスパイトの調整ができているのかにも目を向け、福祉サービスや訪問看護師、在宅医療の利用状況をみて、地域医療連携センターを介して、または直接的に連携を図りながら支援しています。
 2021年に医療的ケア児支援法が成立し、医療的ケア児をサポートする学校や保育園、デイケア、ショートステイなど様々な福祉サービスが増えてきました。
それでもまだ十分とはいえない状況もあり、それぞれの専門家のみなさんと知恵を出し合って工夫しながらサポートしています。
 これからも病気や障害があっても“おひとり、おひとり、その子らしく健やかに過ごし育っていくように”子どもとご家族のお力になれるように努力していきたいと思っています。