NICU

NICU看護師長

NICUの紹介

 2019年、総合周産期母子医療センターの認可を受けました。新生児集中治療室(NICU)は12床あり、他病院からの新生児の搬送も受入れています。入室する新生児はハイリスク妊婦から出生した児や外科疾患、心疾患、染色体異常など様々な疾患を有しています。看護配置3対1体制を取り、看護師は24時間モニター管理するほか、人工呼吸器の管理、輸液管理などを行っています。また、小さな体で一生懸命生きようとする児とご家族の心のケアを大切にしています。

NICUに入室した児の母親は、「妊娠中にもっと気を付ければよかった」「私が無理をしたから」など自責の念を抱くケースが多く見られます。正常分娩の場合でも、産後うつなどホルモンバランスの関係で精神的に不安定になることがあります。母子分離という環境下の中、私たちが大切にしていることは、「子供たちとそのご家族が安心して帰れるように一緒に考えること」です。産後の体調変化もある中、子供に会いに毎日面会に来てくれるご両親に対して、ほんの小さな子供の変化や夜の様子などを伝えています。日々の成長を我が子のように感じることもあり、日常業務の癒しになっています。そして、産後は孤立しがちなお母さんに、お母さんは1人じゃないよ、という思いを込めて寄り添う看護を提供しています。

 ファミリーセンタードケア(Family-Centered Care:FCC)という言葉をご存じですか。家族中心のケアであり、次の4つの視点を持って定義しています。

  1. 患児・家族に対する尊厳と敬意を持つこと(尊厳と尊重)
  2. 家族と十分なコミュニケーションを図り情報を共有すること(情報の共有)
  3. 家族が望むレベルでケアの意思決定への参加を推奨し支持すること(参加)
  4. 家族とヘルスケア専門職が協働すること(協働)


 保育器の中にいる我が子に緊張してなかなか触れることができないご両親に、看護師が児の触れ方を見せながら教えます。変化する児の表情をご両親に見せ、触れることの抵抗感をうすらげます。徐々に触れる時間を作っていき、抱っこができるようになったら、肌を触れあって愛着形成を促すためにカンガルーケアを行います。家族とコミュニケーションを取りながら、無理のないペースでケアに参加してもらっています。
 もうひとつ重要なことは、多職種がチームとなって関わることです。医師、看護師、臨床心理士、理学療法士、薬剤師などが連携を図り、ご両親の精神面の負担を考慮しながら児の治療を行うことも大切なことです。

 NICU入院中は季節のイベントを家族で楽しむことが困難です。私たち看護師は、生まれて1ケ月、100日、半年、1年…など記念日を大事にします。季節によって端午の節句、七夕、夏祭り、クリスマス、お正月…など、記念日には手形・足形を両親と一緒に取り、記念撮影しています。ご希望があれば、ご両親が用意した洋服を児に着せて撮影します。できるだけ多く、イベントごとの写真をご両親の手元に届けています。退院の時、私たちは卒業証書を作成し、スタッフみんなで退院をお祝いします。みんなが笑顔になる瞬間です。
 私たちの一番の願いは子供たちやご家族の笑顔です。