長崎大学病院薬剤部

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ごあいさつ

ごあいさつ

画像:大山 要
ご挨拶

長崎大学病院薬剤部教授・薬剤部長の大山 要です。初代市川正孝教授、第2代佐々木均教授の後を引き継ぎ、2022年2月に第3代教授として着任致しました。我々を取り巻く環境はダイナミックに変化し、様々な問題に直面する中で、医療を含め社会全体が大きな変革を求められています。
社会の変革期は、物事の本質を見極める絶好の機会と捉えることができます。我々薬剤師は今こそ、その役割の本質を見定め、薬剤師の「再定義」に取り組み、未来に向けた行動変容が必要です。私は「輝く」薬剤師を創造するため、物事を楽観的に捉えバイタリティーをもって新しいことにチャレンジする志を大切に育てていくことを目指します。

長崎大学病院薬剤部
教授・部長 大山 要

医療人教育・人財育成

長崎大学病院は「人間性ゆたかな優れた医療人の育成」を基本理念の一つに掲げています。薬・治療に関する知識を備えているだけでは、優れた薬剤師とはいえません。医療を受ける患者さんに薬剤師の立場で寄り添い、患者さんの機微を感じ、適切な治療支援に活かせる薬剤師こそが我々が求める理想像です。この理想を追い、日常業務の中で「相手を見て態度を変えることなく、正しい態度・言動で対人関係を作ることができること」を薬剤師教育の根本に据え、「人間性ゆたかな優れた医療人の育成」に取り組みます。そして、業務改善や新業務の提案など新しいことに協調性をもってチャレンジできる「自律と調和」に優れた医療人が育つ風土を作っていきます。
薬剤師の初期教育は、調剤業務中心から病棟業務中心にシフトさせ、ベッドサイドでの薬剤師の役割を早い段階で理解する教育を進めます。また、専門や認定の資格取得はキャリア形成に非常に重要です。個人の努力だけでなく、取得条件をクリアするための目標を我々と一緒に細かく設定し、進捗を確認しながら薬剤部全体でサポートしていく体制を整えています。
薬剤師は全員が薬剤部の貴重な人財です。ワークライフバランスを意識した薬剤師の働き方改革を積極的に進めています。例えば、産休・育休明けの女性薬剤師には時短勤務を強く勧める一方、パパ育休の取得も奨励しています(教授自らが2022年11月に産後パパ育休を取得しました。詳しくはこちら)。出産・育児だけでなく、本人や家族の病気や介護を含めたライフイベントがキャリアの妨げにならないように、薬剤師の働き方を常に思索し続けていきます。 長崎大学病院薬剤部は地域医療への貢献を目標の一つとし、県内の離島病院に定期的に薬剤師を派遣しています(派遣期間は6カ月のローテーション制)。型にはまらない色々な経験をした薬剤師は貴重であり、離島派遣は重要な育成ポイントと位置付けています。また、全国的に薬剤師の地域偏在は大きな問題です。全国でも珍しい地域枠推薦入試制度をもつ長崎大学薬学部や行政と協力して地域偏在の改善策を作り、離島を多く抱える長崎県で偏在を改善し地域医療に貢献していきます。
長崎大学病院薬剤部は長崎大学薬学部生の病院実習に加え、学外の薬学部生の病院実習も積極的に受け入れ、病棟を中心に病院でしか経験できない業務・活動(注射薬室・医療安全・専門チーム活動・TDM・抗がん剤調製)を重点的にカリキュラム化した実習を行っています。病院実習のカリキュラムは、実習生へのアンケートなどをもとに長崎大学薬学部の教員と一緒に定期的に見直し、薬学部生に病院薬剤師の最新の知識や業務に触れてもらえるよう努めていきます。

業務

医師の働き方改革におけるタスクシフトの担い手として、薬剤師は期待されています。特に、医療安全に果たすべき薬剤師の役割は増え続けています。我々薬剤師が担うべき役割が増えることをポジティブに考えて業務を拡大するとともに、薬剤師自らが新たな業務モデルを提案・実行することで薬剤師のプレゼンスと意識の向上につなげていきます。例えば、がんゲノム医療などの先端医療で薬剤師が担える新たな業務、企業治験・医師主導治験・特定臨床研究などの支援業務は薬剤師でなければ難しい業務と考えられます。
新たな業務展開だけでなく、薬学的知見に基づく薬物治療支援の質・量を上げることも重要です。このためには、様々な領域の専門・認定薬剤師を増やすだけでなく、薬学という特有の学問を基本に独自の役割を果たすことを強く意識する必要があります。我々は薬学に立脚した自らの「強み」を認識して薬剤師の本質に立ち返り、将来的な業務をデザインしていきます。

研究

研究技法や情報解析手法の進展が相まって未体験のスピードで創薬が進み、基礎研究の成果が臨床に直結する時代を迎えています。これは全く新しいアイディアとコンセプトに基づく治療薬・治療法がすぐに臨床現場に登場することを意味し、薬剤師は研究トレンドにも広くアンテナを張らなければなりません。
私は専門の分析化学を基盤に、自己免疫疾患・感染症・悪性腫瘍などの病態解析を中心に、免疫チェックポイント阻害薬の治療効果予測、薬物間相互作用の計算化学、線維症に対するドラッグリポジショニング創薬、冬眠時の臓器機能維持の機序解明など様々な研究を展開してきました。これらに加え、今後は保有する最新鋭の質量分析装置を駆使して、薬物血中濃度測定をTDM対象薬だけでなく非対象薬にも拡充し、日常診療から臨床研究を掘り起こす効率的な研究を診療科と共同で進めていきます。院内の教育・研究を基礎から臨床研究まで幅広く支援することで、診療科と薬剤師の接点を増やし、薬剤部の研究力が病院の強みとなるよう努めていきます。

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