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公開しなければいけない臨床研究 【 第二内科 】
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臨床研究に関する情報公開について
 当院では、以下の臨床研究を実施しております。この研究は、通常の診療で得られた過去の記録をまとめることによって行います。このような研究は、国が定めた「臨床研究に関する指針」に基づき、対象となる患者さんのお一人ずつから直接同意を得るかわりに、研究の目的を含む研究の実施についての情報を公開することが必要とされております。
 利用する情報からは、お名前、住所など、直接同定できる個人情報は削除します。また、研究成果は学会や雑誌等で発表されますが、その際も個人を特定する情報は公表しません。
 ご自身の診療データを研究に使用してほしくないという場合や研究に関するお問い合わせなどがある場合は、以下の「問い合わせ先」へご照会ください。研究不参加を申し出られた場合でも、なんら不利益を受けることはありません。
  研究課題名: シスプラチンの腎障害予防目的でのマグネシウム投与の有用性
  所 属: 長崎大学病院第二内科
  研究責任者: 中村 洋一 (講師)
  研究期間: 平成24年9月1日~平成26年8月31日
  研究目的と意義:  抗がん剤による化学療法は肺癌治療の中で重要な役割を果たしています。手術不能な症例に対してだけでなく、近年は手術後の補助療法として使用される機会も増えています。これら化学療法のキードラッグとして「シスプラチン」が多くの患者さんに用いられています。シスプラチンは高い抗腫瘍活性を有する抗癌剤ですが、同時にいくつかの重篤な有害反応を呈することも知られています。その有害反応の一つとして腎機能障害が挙げられます。この腎障害を予防するために、シスプラチン投与時には大量の補液や利尿剤の投与で腎機能障害の発症を予防しています。それらに加えて、マグネシウムをシスプラチンの投与前に投与することで腎機能障害が予防できるとの報告がいくつかなされています。これらはいずれも小規模な臨床研究でエビデンスとしては十分とは言えませんが、外来化学療法におけるシスプラチンの短時間輸液療法が普遍化するとともに急速に実臨床の現場に普及しています。
 本研究では、実臨床におけるシスプラチンの腎障害に対するマグネシウムの予防効果について後ろ向きに解析します。
  研究方法: ●対象
当科で通常量のシスプラチン投与と腎機能保護目的でのマグネシウムの投与を併せて受けた患者さんの診療記録
●方法・利用するカルテ情報
血清クレアチニンとeGFRを調査し、実臨床におけるマグネシウム投与の有用性を科学的に評価致します。
  問い合わせ先: 長崎大学病院 第二内科  担当医師 中村 洋一
〒852-8501 長崎市坂本1丁目7番1号
TEL: 095(819)7273 FAX: 095(849)7285
  研究課題名: MRSA肺炎診断・治療の実態調査
  所 属: 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科感染免疫学講座 (第二内科)
  研究責任者: 掛屋 弘 (准教授)
  研究期間: 平成24年10月29日~平成26年10月31日
  研究目的と意義:  実地臨床においてMRSA肺炎がどのように診断され、また治療に用いる抗MRSA薬がどのように選択されているのかに特化した調査は過去に実施されておりません。本研究は、MRSA肺炎の診断と治療の実態を明らかにすることを目的とします。
  研究方法: ●対象:
20歳以上で抗MRSA薬を服用された入院患者さんの診療記録及び検出菌株
●方法・利用するカルテ情報:
以下の方法により調査を実施致します。
1)「成人院内肺炎診療ガイドライン」(日本呼吸器学会2008年6月改定)に従った院内肺炎に関し、MRSA肺炎の診断根拠、MRSAの分離頻度、および使用された抗MRSA薬の妥当性等を評価致します。
2)市中肺炎、医療ケア関連肺炎に関しても抗MRSA薬が使用された場合、その診断根拠、MRSAの分離頻度、および使用された抗MRSA薬の妥当性等を評価致します。
  問い合わせ先: 長崎大学病院 第二内科  担当医師 掛屋 弘
〒852-8501 長崎市坂本1丁目7番1号
TEL: 095(819)7273 FAX: 095(849)7285
  研究課題名: 非HIV感染患者におけるクリプトコックス症の後ろ向き臨床・疫学研究
  研究責任者: 泉川 公一
  研究期間: 平成24年7月3日〜平成29年5月31日
  研究の概要:  クリプトコックス感染症は、欧米では、HIV感染症の日和見感染症としてきわめて重要な深在性真菌症であり、死亡率の高い難治性感染症として認識されている。一方、HIV感染者が少ない本邦においては、相対的に少ない発症率となる。しかし、本感染症は、HIV感染などの免疫不全が無くとも発症可能な真菌症で、ユニークな感染症である。
 非HIV患者におけるクリプトコックス感染症については、細胞性免疫低下が一般的な感染危険因子であるが、健常人も感染、発症することから、その臨床病態について注目されている。しかしながら、非HIV患者におけるクリプトコックス感染症の実態については、報告が限られている。本研究では、当科でクリプトコックス感染症と診断された非HIV感染患者の臨床的特徴を後ろ向きに解析し、その実態を明らかにする。さらに、分離されたクリプトコックス菌株について遺伝子学的な疫学研究を行い、臨床病態との関連性を検討する。
  研究課題名: 上気道感染誘発喘息発作の臨床像に関する後ろ向き臨床的検討
  研究責任者: 松瀬 厚人
  研究期間: 平成24年6月28日~平成24年12月31日
  研究の概要:  気管支喘息は全世界的に患者数の増加が認められる気道の慢性炎症性疾患である。抗炎症薬である吸入ステロイドの普及により、喘息による死亡は減少し、患者のQOLも著しく向上してきた。一方、吸入ステロイドによる治療中であっても、時に喘息増悪(発作)を生じることがあり、患者のQOLのみならず、多額の医療経済的損失の原因ともなっており、喘息増悪の予防は臨床上重要な問題である。成人と小児の両方において、最も頻度が高い喘息増悪の誘因は、呼吸器ウイルスによる上気道感染症、すなわち普通感冒である。上気道感染によって喘息が増悪する機序には多くの因子の関与が疑われているが未だに詳細は不明である。
 本研究では、長崎大学病院喘息外来に通院中の患者から回収した喘息日誌を使って、上気道感染症状の重症度、期間や日頃服用している喘息治療薬が引き続く喘息増悪にどのように関連するかを後ろ向きに解析することを目的として、上記の対象患者の臨床像について、喘息日誌を用いて、上気道感染と喘息増悪の有無について、後方視的に調査し解析する。
  研究課題名: アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の後ろ向き臨床的検討定
  研究責任者: 松瀬 厚人
  研究期間: 平成24年6月28日~平成29年5月31日
  研究の概要:  アスペルギルスは人間の生活環境中に普遍的に存在する真菌であり、様々な疾患の原因となる。抗癌化学療法による好中球減少中など免疫不全状態にある患者では予後不良な深在性真菌症を引き起こす一方で、アレルギー素因を有する患者においては、外因性喘息やアレルギー性気管支肺アスペルギルス症(allergic bronchopulmonary aspergillosis: ABPA)などのアレルギー性呼吸器疾患の原因となる。ABPAはアスペルギルスに対するⅠ型、Ⅲ型アレルギーによる好酸球性肺疾患であり、進行すると気管支拡張など不可逆的な変化を生じるため早期発見と治療が重要と考えられている。治療としては、全身性ステロイドが第一選択であるが、近年抗真菌薬の併用が有効な症例が報告されている。ABPAの最も頻度の高い原因真菌はAspergillus fumigatusであるが、臨床の現場では、ABPA患者の喀痰からの真菌同定は困難であり、臨床的にABPAが疑われた時点で、真菌の同定を待たずに抗真菌薬の投与が行われることも多い。近年、一般細菌と同様に、真菌に対する抗真菌薬の耐性化が世界的に問題となっており、原因真菌の同定を行わずに、ステロイドと抗真菌薬の併用を行うことは、耐性誘導の点からも問題である。
 本研究では、長崎大学病院にて過去にABPAと臨床診断された症例について、その臨床的特徴を特に原因となった真菌と臨床像の特徴について解析することを目的として、上記の対象患者の臨床像について、カルテを用いて、胸部レントゲン画像所見、血清学的検査、真菌学的検査所見について、後方視的に調査し解析する。
  研究課題名: 慢性肺アスペルギルス症の後ろ向き病理学的検討
  研究責任者: 泉川 公一
  研究期間: 平成24年5月28日〜平成24年12月31日
  研究の概要:  慢性肺アスペルギルス症は深在性真菌症の中でもとくに予後不良な疾患である。陳旧性結核やCOPDを基礎疾患にもつ患者に発症する慢性肺アスペルギルス症については、既存の器質的肺疾患による病変部位に、アスペルギルスが定着(あるいは一部、組織侵襲する)し、発症する。患者の基礎疾患や背景が複雑なことや、アスペルギルス菌体自体の証明も困難で、さらには、有用な血清診断も存在しないために、診断が遅れひいては予後不良にも繋がる。確定診断のために、最も有用であるのは病理診断となるが、前述のように、基礎疾患が存在するために、病理標本そのものを採取することが困難である。このような背景により、慢性肺アスペルギルス症には、現在、様々な疾患概念、呼称がつけられており、疾患自体の理解を困難にしている。
 本研究では、長崎大学病院にて過去に得られた手術、剖検の病理標本のうち、病理学的に肺アスペルギルス症と診断された症例のうち、とくに慢性に進行した症例について、その病理学的な特徴を諸外国から提唱されている疾患概念、定義と照らし合わせ、比較、検証する。
  研究課題名: 気管支・気管支肺胞洗浄液中のアスペルギルスガラクトマンナン抗原測定による肺アスペルギルス症診断への有用性の検討
  研究責任者: 河野 茂
  研究期間: 平成24年5月28日〜平成29年5月31日
  研究の概要:  呼吸器感染症において、気管支肺胞洗浄液の採取はその診断に有用である。感染局所の気管支肺胞洗浄液の細胞成分の測定や、グラム染色をはじめとした各種染色から病態や原因微生物を推定し、培養検査で原因微生物の同定を行い確定診断にいたる。一方、培養検査の陽性率は総じて高いものではなく、気管支肺胞洗浄液中の微生物由来の抗原の測定や血清中の抗原検査などは補助的に行う必要がある。本研究では、肺アスペルギルス症も含む各種呼吸器感染症が疑われる患者の気管支肺胞洗浄液における抗原のうち、特にアスペルギルスガラクトマンナン抗原について、肺アスペルギルス症の診断における測定の意義を後方視的に検討する。