実施指導者として
大切にしていること Vol.1

実施指導者 ICU

"ICU 実施指導者"
"本村 奈央"

 私は今年度、初めて実地指導者として新人指導に携わっています。新人時代を振り返ると、初めての経験に対する不安や困難を抱きながらも、できることが増えていくやりがいを感じられる時期でした。その経験を踏まえた上で、私が新人看護師に実地指導者として向き合うときに大切にしていることを4つ紹介します。 

  


   

新人看護師が考えながら学べるよう指導を行う

 新人看護師は初めての経験が多いため、手順を追って丁寧に指導しています。しかし、経験を積んだ後も一方的な指導ばかりだと、常に受身になってしまい、自ら考えて行動する機会を奪ってしまうことがあります。そのため、以下の方法を参考に指導を行っています。
 「OMP(One Minute Preceptor(1分間の指導法))」:学習者のニーズに合わせて、学習者主体の学びを促すのに効果的であり、臨床の忙しい状況の中で、学習者に考えさせながら、迅速に問題を焦点化させる教育方法だと言われています。
具体的には、①:「本人の考えを聞く」ことで思考を理解し、②:「根拠を聞く」ことで思考過程を明らかにできます。③「ルールを教える」:①②で明確化した知識が欠けている部分(ニーズ)に絞って、一般論を説明し、正しい知識を伝えます。自分が知らないことに直面した時には一緒に調べることで共に成長することもできます。④「褒める」:できている部分や正しい部分を認めて、その考えや行動が学習者へ定着することを強化します。⑤「次に活かす」:見出された課題を提示し、次の学習の段階に進めるように提案できます。
  このように新人看護師が考える時間を作り関わることで、一方的な指導だけにとどまらず、新人看護師が困難に直面した時にも対応できるような支援を行うように心掛けています。



  
   

新人看護師の精神的サポートを行う

 新人看護師は新しい環境で慣れない仕事に直面し、常に緊張をしています。そのため、少しでも新人看護師の体調や心の変化に気付くために、勤務の際には顔を見て笑顔で挨拶を行うようにしています。また、こちらから積極的に「何か気になっていることはない?」「いつでも相談してね」と声を掛けるよう心掛け、相談できる相手がいると認識してもらい、小さなことでも相談しやすい雰囲気作りに努めています。何か不安なことがある時には相談に乗り、一緒に考えることで少しでも働きやすい職場になるよう心掛けています。

  
  

新人看護師と信頼関係を構築する

 私自身、新人時代に先輩に信頼を置いていたからこそ、先輩のようになれるように頑張ろうと熱心に指導を聞き、仕事に励んでいました。今となっては指導者である自分がお手本である行動をとるよう努め、どんな場面でも自分が新人看護師の一番の味方であることが大切だと考えます。例えば、新人看護師が何か間違えたことをしてしまったとしても、間違えはだれにでもあることであり、どうしたらよかったか一緒に解決できるよう寄り添った指導に努めています。

  
  

実地指導者やスタッフ全体で協力して指導を行う

 私が新人指導を行う上で、自分の指導が適切なのか不安に感じる時があります。自分自身も指導者としてまだまだ未熟であり、成長段階にあります。自分の悩みやお互いの不安を実地指導者同士で共有することで共に考えたり、先輩スタッフや教育担当者へ相談することで自分の不足していたことに気付いたりと、試行錯誤しながら新人看護師がより良く育つ指導を行えるように努めています。
 以上の4つのことを大切にして、新人看護師一人一人に寄り添った支援を行っていきたいと考えています。また、自分自身も新人看護師と共に自己研磨することで成長し、看護部の教育理念である「専門職である看護師としての使命と責任を自覚し、安心・安全を保障する看護実践ができる看護師を育成できる」よう努めていきたいと思います。