医療関係者の方へ

検査方法
 患者さんから採取・抽出した細胞、血液、ゲノムDNAを使って検査を行います。
 検査結果は、DNA修復機構・DNA損傷応答機構の欠損の有無と、欠損が認められた場合には原因変異をご報告します。疾患によっては、DNA損傷修復機能検査を行わずに、シークエンシングのみをする場合もあります。検体がゲノムDNAのみの場合は、既知の原因遺伝子の変異の有無のみご報告します。

DNA修復機構・DNA損傷応答機構の機能検査
 ゲノム不安定性疾患群の患者さんでは、複数あるDNA修復機構・DNA損傷応答機構のなかの、どれか1つの経路に異常があると考えられます。そこで、患者さんの細胞を使って、DNA修復機構・DNA損傷応答機構のどの経路に異常があるのかを検査します。紫外線、放射線、化学物質などDNA損傷を誘発する様々な要因に細胞を暴露し、それぞれの損傷を特異的に修復するメカニズムの活性を調査します。修復活性の低下が認められた場合 (欠損している修復経路が特定された場合)には、既知の関連遺伝子を患者細胞に強制発現させることで欠損した修復活性が回復するかを指標として、疾患原因となっている異常を持つ遺伝子を特定します (ウイルス相補性試験) 。遺伝子が特定された後は、サンガーシークエンシングにより疾患原因変異を特定します。
次世代ゲノム解析を用いた網羅的調査

 上記ウイルス相補性試験で、既知の関連遺伝子が原因でないと判明した症例に関しては、次世代ゲノム解析 (exome解析)により、すべての遺伝子を網羅的に調査し、疾患原因変異を調査します。次世代ゲノム解析では、患者本人だけでなく両親や兄弟のゲノムDNAの提供があると、疾患原因変異の同定効率は高くなります。次世代ゲノム解析で、これまで疾患との関連が知られていなかった遺伝子 (機能未知の遺伝子を含む)が候補となった場合でも、患者細胞を用いたウイルス相補性試験を実施することで、科学的な証拠に基づいて疾患原因を確定することが可能です。

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