日本における死因の推移をみてみますと、1981年までは、脳血管疾患が第1位だったのですが、それ以降は、悪性新生物が第1位となっています。
そのため、がん対策基本法が2007年に施行されました。
一方、死因の第2位は、心臓病で、脳血管疾患と合わせます(これらを「循環器病」とよびます)と、悪性新生物と匹敵するくらいの割合になります。
この循環器病は健康寿命(日常生活に制限のない期間)に大きな影響を与えます。
そこで、国をあげてこの対策を講じるため、いわゆる循環器病対策基本法が、2019年に施行されました。
さらに循環器病対策推進基本計画が2020年に閣議決定され、各都道府県にてその推進計画が講じられています。
この計画を推進し、地域全体で脳卒中・心臓病などの患者の支援体制を充実させることを目的として、厚生労働省のモデル事業として、本センターが設立されました。そして2024年度より、本センター事業は、長崎県の委託事業となりました。
長崎大学病院では脳卒中・心臓病等総合支援センター(以下、本センター)が、2023年9月1日に開設され、初代センター長として前村浩二教授が就任されました。
10月1日からは、私が2代目のセンター長を拝命致しました。
日本の平均寿命は世界1位になるほどかなり延伸していますが、一方で健康寿命(日常生活に制限のない期間)との乖離があることが言われています。
この健康寿命には、脳卒中や心臓病が深く関係しています。
例えば、脳梗塞で麻痺が生じて歩きにくくなる、心不全にて身体を少し動かすこともなかなかできないなど、日常生活にかなり悪影響を与えます。
そこで、脳卒中・循環器病対策基本法(「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」)が2019年12月に施行され、これに基づき、循環器病の対策を推進していくことが各都道府県レベルでも始まっています。
長崎大学病院は、長崎県においてこの対策を進めていく中心的な施設として、令和5年に厚生労働省のモデル事業に選定され、本センターの開設となりました。
脳卒中や心臓病は、突然、発症し、その後の生活にも影響を与える病気です。
そのため急性期の診断、治療のみならず、リハビリなど回復期〜維持期(生活期)の医療も重要となってきます。
さらに医療継続(かかりつけ医との連携など)や就労など、日常生活における問題も生じることもあります。
そこで本センターでは、医師、看護師、理学療法士、薬剤師、栄養士や医療ソーシャルワーカーなどの多職種も含めて、患者さんの様々な疑問や相談を受ける相談窓口を設置しました。
ぜひ、脳卒中・心臓病でお困りことなどありましたら、お気軽にお問合せください。
また病気を発症しないように予防することも生活の質を低下させないために重要です。
本センターでは、今後、様々な方法で、県民の皆様に脳卒中・心臓病を発症させないようにはどうしたらよいか、その予防・対策についても情報も発信していきます。
本センターの活動を通じて、皆さんの健康寿命の延伸につながれば幸いです。