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2024.10.20 お知らせ

「第7回 佐賀・長崎 重症心不全・補助人工心臓懇話会」が 開催されました。

2024年10月26日、佐賀県嬉野市にて「第7回 佐賀・長崎 重症心不全・補助人工心臓懇話会」が開催されました。本懇話会は、 心臓移植や補助人工心臓を必要とする重症心不全の診療について、医師のみならず看護師、理学療法士、臨床工学技士、 管理栄養士、社会福祉士など多職種の間で情報を共有し学ぶことを目的としています。今回は佐賀県に加え、九州大学病院の先生方も ご参加いただき、意見交換が行われました。
当院からは循環器内科医師(脳卒中・心臓病等総合支援センタースタッフ)の黒部先生が登壇し、長崎県での診療実績について報告しました。 長崎においても、心臓移植を前提とした補助人工心臓の植込みに加え、長期在宅での補助人工心臓治療が実現している現状について共有しました。
また、当院の臨床工学技士からは「新たな補助人工心臓教育の取り組み」と題して、医療従事者向けの教育方法に関する発表がありました。 新しいスタッフが増えても、診療水準を維持するために、教育資材の見直しや機器取扱い動画の制作、Googleフォームを活用した理解度テストの導入など、 多岐にわたる工夫が紹介されました。
さらに、理学療法士からは「重症心不全症例での心臓リハビリテーション」に関する発表がありました。重症心不全の患者では補助人工心臓手術の負担が大きいため、 術前からの筋力トレーニングによる「貯筋」の重要性や、術後の歩行訓練開始までに要する日数を基にした回復予測のデータを発表しました。
懇話会では約40名の参加者がグループに分かれ、ワークショップ形式で議論が行われました。重症心不全患者に対して、どのような情報を収集すべきか、 最も重視すべきことは何か、多職種で意見交換を行いました。医療現場では、患者やその家族とのコミュニケーションが欠かせないことや、長期の治療や介護負担の大きいケースにおいては 、患者の生活背景や治療の目標を医療者側が理解することの重要性が改めて認識されました。
特別講演では、九州大学病院の藤野剛雄先生より「九州におけるLVAD治療の未来~多職種連携と地域連携~」と題して、九州における心臓移植および補助人工心臓治療の現状と展望が語られました。 患者の増加に伴い、単一の病院に依存するのではなく、共通の目標を持つ病院間の連携がますます重要になること、また、今後の長期在宅補助人工心臓治療の増加に合わせ、地域社会での管理体制の拡充が求められていることが話されました。
県や職種を越えた交流を深め、実り多い懇話会となりました。今後も、日々の診療に邁進したいと思います。