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各教授からのメッセージ

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呼吸器内科 教授

迎 寛

今回のCOVID-19パンデミックにより、わが国では他の先進国と比較して、医療従事者や行政職員に感染症のスペシャリストが不足していることが露呈しました。
今回や将来のパンデミックに向け、今後の人材育成はわが国において極めて重要な問題です。
呼吸器内科(第二内科)では伝統的に特に感染症の臨床・教育に注力して参りました。
当教室からはこれまでに基礎から臨床まで様々な領域で活躍される人材を他の大学や国立感染症研究所などに多く輩出しております。
現在、当教室では肺炎、真菌・抗酸菌などの慢性呼吸器感染症、日和見感染症、COVID-19の診療に加え、臨床/基礎研究等も幅広く行っています。
当教室での研修では、これらの感染症診療に対する知識・経験を専門医の指導・サポートの下で、十分に得ることが出来ます。
それだけではなく、呼吸器感染症の診断には、まず非感染性疾患(間質性肺炎や腫瘍性疾患)の鑑別も重要ですので、そこに関する知識や、気管支鏡検査、胸腔ドレーン留置などの手技も修得する事ができます。
是非、多くの先生方に長崎大学で感染症の研鑽を積んでいただき、将来のパンデミックに対応できるような日本の感染症診療を担う人材の一人になっていただくことを願っております。

感染症内科 教授

有吉 紅也

長崎ならではの感染症専門医育成拠点がついに生まれたと考えている。
長年、長崎大学病院感染症内科(熱研内科)の中心メンバーであった古本先生の診療を近くで見てきた。
熱性患者診療への全人的かつ緻密なアプローチ、正確な知識、温和な人間性とコミュニケーション能力等、若手医師が指導者として求めるすべての資質を兼ね備えた極めて優秀な指導医である。
これからの日本の感染症専門医は、グローバル化の深化にともない、熱帯地の感染症についても熟知することの重要性は高まっている。
さらに、感染症数理モデルやゲノム解析など最先端の感染症研究へ触れることも大事だ。
それだけに、今回、熱帯医学研究所出身の教授が、教室・診療科を越えて、その技術と人間性が高く評価され、長崎大学の感染症専門医・医療人育成の陣頭指揮に立つ意義は大きい。
長崎ならではの感染症専門医・医療人の育成を担う古本教授に、これから全力で協力してゆきたい。

臨床検査科・検査部 教授

栁原 克紀

微生物検査は感染症診療や感染制御の方針を決定する上での根拠となり重要な役割を担っています。
長崎大学病院検査部ではグラム染色や培養、抗原検査など従来の方法はもとより、最先端の診断技術を用いて微生物や薬剤耐性に関わる遺伝子の検出なども行っています。
また、薬剤耐性菌の院内伝播の検証や疫学的な解析なども行っています。
微生物検査をよく知ることによって感染症診療や感染制御の適切な実践、研究への発展が期待できます。
是非、検査部にも足を運んで下さい。一緒に勉強しましょう。

小児科 教授

森内 浩幸

まず簡単な自己紹介を致しますと、私は米国に研究留学していた1990年代に、いろんな経緯があってECFMGを受験して留学先のNIHの中のClinical CenterでID fellowshipに乗っかった感染症臨床のトレーニングを受けました。
と言っても、米国でresidencyを済ませたわけではない私は、fellowshipを終えてもID specialistとしてのboard examを受ける資格はありませんでした。
周囲からはresidencyから始めて米国での臨床のキャリアを実のあるものにしてはどうかと忠告されましたが、本来研究目的で留学した私にとっては臨床と研究を両方行うことが出来るNIAIDのfellowshipがバランスの取れたプログラムでした。
一年間は臨床のみのトレーニングを受けましたが、NIH Clinical Centerだけではなく、DCやボルチモアの大学病院をいくつも回り非常に濃厚な経験だったと思います。
臨床と研究の両輪で過ごす段階になり、元々行っていたヘルペスウイルスの研究からHIVの研究に鞍替えしました。
その理由の一つとなったのは、NIH Clinical CenterでAIDSの患者さん達を受け持っている際に、NIAID所長であるTony Fauci先生が無茶苦茶多忙なスケジュールの中でも必ず病棟回診に十分時間をかけていた姿に敬服したこともあります。
Fauci所長直下のラボに移り、AIDSの臨床研究にリクルートされた患者さん達の診療とHIVの研究を行う毎日を過ごした後、帰国し本学の小児科教授を拝命しました。
殆どの病原体に対してナイーブな子ども達にとって、感染症は極めてcommonな病気です。
また大人の感染症と子どもの感染症は随分違うところがあります。
母子感染のように小児科ならではの分野もありますし、細菌感染よりも圧倒的にウイルス感染が多いし、子ども達はワクチンも大人とは比べ物にならないくらい接種されます(0~1歳で20数本受けます)。
感染症の極意を取得するためには、小児科領域の感染症を知ることも不可欠だと私は信じています。
このプログラムの中で小児科は補佐的な役割を果たすのみですが、意義あるトレーニングとなるようにサポートして行きたいと思います。

感染制御教育センター 教授

泉川 公一

感染症医療人育成センターの新設に寄せて、キーワードは、all Nagasaki!
長崎大学は長きにわたり感染症に関する研究、臨床、教育、国際貢献を様々な角度から行ってきたユニークな大学だといえます。
人口あたりの感染症専門医数は日本で一番多い県で、大学内はもちろんのこと、県内に多くの専門医がいます。
2020年の新型コロナウイルス感染症のパンデミックの発生に伴い、日本には感染症の専門家が少なく、人材育成の重要性が認識されました。
古本教授率いる感染症医療人育成センターは当学の感染症エキスパートの豊富さを背景に、感染症に長けた医療人を育成し日本の感染症のレベルアップを目的にした新たなセンターです。
「all Nagasaki」で、人材育成をすること、この目標を達成するために、感染制御教育センターは、感染対策のエキスパートとして医療人育成に積極的に関わっていきたいと思います。
古本教授とともに、力を併せて頑張ります!!!