病院長挨拶

 


Message from the Hospital Director

長崎大学病院長
中尾 一彦

<略歴>
1983(昭和58)年3月 長崎大学医学部 卒業
2009(平成21)年3月 長崎大学医学部・歯学部附属病院
              消化器内科 診療科長
2019(平成31)年4月 国立大学法人長崎大学
              理事(病院担当)・病院長
2021(令和 3)年4月 執行役員(病院担当)・病院長
              専門は内科学、肝疾患
長崎大学病院長 中尾 一彦

わたし達のチャレンジ!

 この度、病院長に就任し、その責任の重さをひしひしと感じている毎日です。
 私は、1983(昭和58)年に長崎大学医学部を卒業後、本院で研修医として勤務を始め、肝臓病を専攻し、2009(平成21)年より消化器内科診療科長を務めています。
 ご存知のように、長崎大学病院は、西洋式の病院として日本で最も長い歴史を持ち、被爆し復興した唯一の大学病院であります。長い歴史の中で数々の困難がありましたが、患者さんのために、医療人育成のために、常に果敢な挑戦を続けてきたのが、長崎大学病院です。
 私も先人に見習い、僭越ながら、3つの挑戦を掲げたいと思います。

全人的医療の実施と高度・先端医療への挑戦。(診療)

 今日、医学の進歩は目覚ましいものがあり、ロボット手術、再生医療、人工知能(AI)による診療など、私が医師になった頃には想像すらできなかった医療が現実のものとなっています。治療薬も大きく進歩し、不治の病と言われた病気が、新薬により完治が期待できる時代となりました。
 しかし、医療の高度な専門化は、時に「病を見て人を見ず」という偏った診療に陥ることがあります。私たちは、職員一丸となり、高度・先端医療を実践しながら、患者さんの全てに配慮した全人的医療を常に心がけたいと思います。

若手医療人の育成、特色ある臨床研究への挑戦。(教育・研究)

 地域医療を支える医師、歯科医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、技術職員などの医療人を育成することは、教育機関である大学病院の使命です。患者さんのご理解や地域医療機関と大学の教育連携により、幸いにも長崎県は、他県と比較して、若手医療人が多く集まっています。この勢いを継続するため、新・鳴滝塾(長崎県医師臨床研修協議会)の活動をさらに強化して、若くて優秀な医療人を一人でも多く育成したいと思います。
 先端的な医療は、多種多様な地道な研究成果の積み重ねにより得られてきました。本院も特色ある臨床研究を計画、実施し、医学の進歩に寄与できるような成果をあげ、日本の臨床研究の中核となることを目指します。

元気で活気あふれる病院への挑戦。(連携)

 高度な医療を効率的かつ安全に行うには、職員一人ひとりが「自分が大学病院を支えている」というプロ意識を持って連携して働くことが大切です。職種、職位に関わらず、自らの考えや建設的な意見を自由に発言し議論できる環境を整えることが、大学病院のイノベーション(革新)に繋がります。元気で活気あふれる自由闊達な雰囲気の大学病院を目指したいと思います。さらに、活力ある大学病院が、医師会や地域の医療機関と連携を強化し、患者さんのために最善の医療を尽くしたいと思います。

 以上、3つの挑戦を掲げ、みなさんのご期待、地域医療機関のニーズに応えられる病院となるように、微力ながら精一杯頑張りますので、どうぞ宜しくお願いいたします。

長崎大学病院概要(2023年度冊子版 2023年7月発行)のダウンロードはこちら
※最新の基本情報はこちらよりご覧いただけます。

本院の基本理念・基本方針等

2022年4月

基本理念

長崎大学病院は,最高水準の医療を広く提供するとともに,人間性ゆたかな優れた医療人を育成し,健全なる運営と経営のもと,新しい医療の創造と発展に貢献する。

基本方針

  1. 患者と医療従事者との信頼関係を築き,人間性を重視した医療を実践する。
  2. 倫理性と科学性に基づいた医学・歯学教育を実践する。
  3. 世界水準の医療と研究を推進する。
  4. 地域医療体制の充実に貢献する。
  5. 医療の国際協力を推進する。
  6. 働きやすく,やりがいのある健康的な職場環境づくりを推進する。
  7. 合理的で健全な病院経営を推進する。

患者さんの権利と義務

医療は,患者さんと医療従事者の信頼関係を基礎とした協働作業です。
患者さんは,医療チームの一員です。

すべての患者さんには,以下の《権利》があります。

  1. 受療の権利:個人の尊厳が保たれ,いかなる差別もなく,安全で良質な医療を受ける権利
  2. 知る権利:病状,診断,予後,治療方法などについて,わかりやすい説明を求める権利
  3. 自己決定の権利:納得できるまで説明を受けた後,医療従事者の提案する診療計画などを自らの意思で決定する権利
  4. プライバシーの権利:プライバシーを保護される権利
  5. セカンドオピニオンの権利:他の医療機関に相談する権利

すべての患者さんには,以下の《義務》があります。

  1. 情報提供の義務:医療従事者に対し,健康に関する情報をできるだけ正確に伝える義務
  2. 診療協力の義務:安全かつ適切な医療を受けられるように,社会的ルールや病院の規則,職員の指示を守る義務
  3. 医療費支払の義務:適切な医療が維持されるように,医療費を遅滞なく支払う義務
  4. 医療人育成への協力義務:医療人の育成という大学病院の役割のため,臨床教育等に対し,可能な限り協力する義務
  5. 臨床研究への協力義務:高度な医療が提供されるように,臨床研究に対し,可能な限り協力する義務
  6. 医療連携への協力義務:他医療機関との医療連携に対し,協力する義務
 

長崎大学病院ながさきだいがくびょういんのこどもの患者かんじゃさんの権利けんり

  1. ひとりのひととして大切たいせつにされます。
  2. あなたにとって一番いちばんよい治療ちりょうけることができます。
  3. 安心あんしんできる環境かんきょう生活せいかつすることができます。
  4. 大切たいせつひと家族かぞくとできるかぎりいっしょにいてもらうことができます。
  5. 病気びょうき病気びょうきなお方法ほうほうを,わかりやすい言葉ことば説明せつめいけることができます。
  6. あなたの気持きもちや希望きぼうかんがえを,家族かぞく病院びょういんひとつたえることができます。
  7. 希望きぼうどおりにならない場合ばあいに,どうしてなのか説明せつめいけることができます。
  8. ほかひとられたくないことがあれば,秘密ひみつにすることができます。
  9. 病院びょういんにいても,あそんだり,勉強べんきょうしたりすることができます。
  10. 退院たいいんしたあとも,身体からだこころささえてもらうことができます。

医療サービスポリシー

  1. 癒しのある療養環境を整備し,安全で信頼される良質な医療を提供する。
  2. 高度先端医療の開発と推進を図り,最高水準の医療を提供する。
  3. 地域医療機関と密に連携し,社会に開かれた病院として貢献する。

これらを実現するための健全な病院経営に向けて,職員一丸となってQMS(品質マネジメントシステム)の有効性を継続的に改善する。

職業倫理に関する方針

本院職員は職責の重大さを認識し,本院の基本理念・基本方針を基に,医療を受ける人々に奉仕します。

  1. 生涯学習の精神を保ち,つねに医療の知識と技術の習得に努めるとともに,その進歩・発展に尽くします。
  2. 職業の尊厳と責任を自覚し,教養を深め,人格を高めるよう心掛けます。
  3. 医療を受ける人々の人格を尊重し,優しい心で接するとともに,医療内容についてよく説明し,信頼を得るように努めます。
  4. 互いの立場を尊重し,多職種間で連携・協働して良質な医療サービスを提供します。
  5. 医療の公共性を重んじ,医療を通じて社会の発展に尽くすとともに,法規範の遵守および法秩序の形成に努めます。
  6. 守秘義務を遵守し,個人情報の保護に努めます。

臨床における倫理に関する方針

本院職員は医療を受ける人々の尊厳,人権に十分配慮し,本方針に従って質の高い医療を提供します。

  1. 関係法規,ガイドラインを遵守し,治療を行います。
    1. 母体保護法を遵守します。
    2. 臓器移植に関わる法規を遵守します。
    3. 胎児診断,生殖補助医療(人工授精,体外受精等)に関わるガイドラインを遵守します。
  2. 医療を受ける人々の権利,尊厳に関わる医療については,医療倫理委員会等において十分審議し,治療方針を検討します。
    1. 延命治療等の生命の尊厳に関わる問題
    2. 医療を受ける人々の信仰、信条に関わる問題
  3. 医療の発展のために積極的に臨床研究を推進し,その実施においては,臨床研究倫理委員会等において十分審議し,研究に参加される方々の安全および人権を最大限に守ります。

沿革

文久元(1861)年9月

長崎小島郷稲荷岳に養生所を開設

養生所のスケッチ
文久元年(1861年9月20日)開院長崎大学附属図書館経済学部分館蔵
学生たちとの集合写真
前列右にポンペ、左に松本良順が座わり、後列に学生が立っている(長崎大学附属図書館医学分館蔵)
日本最初の西洋式病院「養生所」
慶応元(1865)年4月 精得館と改称
明治元(1868)年11月 長崎府医学校と改称
明治2(1869)年8月 長崎県病院医学校と改称
明治4(1871)年12月 文部省の所管となり、長崎県病院・長崎医学校と改称
明治7(1874)年11月 長崎県病院、長崎医学校は廃止され、長崎県病院は蕃地事務支局(兵員)病院と改称
明治8(1875)年4月 長崎病院と改称(県管轄)
明治20(1887)年8月 医学校の国立移管に伴い、長崎県立長崎病院と改称
明治35(1902)年4月 現在地に移転
明治36(1903)年10月 長崎県立長崎病院附属看護婦養成所を設置
大正11(1922)年4月 官立長崎医学専門学校附属病院と改称
大正12(1923)年8月 長崎医科大学附属医院と改称
昭和20(1945)年8月

原子爆弾により被災

被爆直後の長崎医科大学附属医院
(米国陸軍病理学研究所返還写真)
養生所開設以後、名称、所管とも幾多の変遷を経て、昭和20 年(1945)8 月9 日原子爆弾により原爆により壊滅的被害を受け、898 名の学生、職員等が犠牲となりました。世界で唯一の被爆経験を有する医学校という悲しい歴史を有することとなりました。
昭和24(1949)年5月

国立学校設置法の改正に伴い、長崎大学医学部附属病院と改称

医学部・附属病院全景(1958 年)
附属病院玄関(1965 年)
昭和57(1982)年4月

歯科口腔外科廃止、歯学部附属病院設置

医学部附属病院全景(1995 年)
平成15(2003)年10月 医学部附属病院と歯学部附属病院を統合し、長崎大学医学部・歯学部附属病院と改称
平成21(2009)年4月

学部附属の病院から、大学直轄の病院となり、名称を長崎大学病院と変更

現在の大学病院

組織・体制

 

機構図

 

役職員

 

職員数

分類 職種 常勤 生命医科学域・原研・
熱研所属職員数
非常勤 合計
教員 教授 17 40 0 57
准教授 17 31 0 48
講師 56 5 0 61
助教 165 56 0 221
助手 58 0 0 58
非常勤医師 医員 0 0 227 227
修練医 0 0 74 74
研修医 0 0 54 54
技術職員 薬剤師 55 0 0 55
管理栄養士 14 0 2 16
看護職員 987 0 5 992
その他の技術職員 218 0 10 228
技能職員等 技能職員等 22 0 90 112
事務職員 事務職員 118 0 258 376
  合計 1,727 132 720 2,579
2023年4月1日現在
 

病床数

種類別病床数
一般病床 827
普通室 541
特別室 102
重症室 65
無菌治療室※ 42
RI 治療室 2
集中治療室(ICU) 20
母体・胎児集中治療室(MFICU) 6
新生児集中治療室(NICU) 12
新生児治療回復室(GCU) 12
脳卒中ケアユニット(SCU) 6
高度救命救急センター 19
精神病床 39
結核病床 6
感染症病床 2
合計 874
2023年4月1日現在
※重症室との重複6床を除く
 

法令による指定、施設基準

 

先進医療承認状況(厚生労働大臣承認)

先進医療の名称 算定開始年月日
ハイパードライヒト乾燥羊膜を用いた外科的再建術 再発翼状片(増殖組織が角膜輪部を超えるものに限る) 2018年1月1日
テネクテプラーゼ静脈内投与療法 脳梗塞(発症から四・五時間以内のものに限る) 2022年9月1日
生体肝移植術 切除が不可能な転移性肝がん(大腸がんから転移したものであって、大腸切除後の患者に係るものに限る) 2023年11月1日
シクロホスファミド静脈内投与療法 成人T細胞白血病(末梢血幹細胞の非血縁者間移植が行われたものに限る。) 2024年2月1日
2024年3月1日現在

各種指針

 

個人情報保護に関する基本方針

 

安全管理のための指針

安全管理への取り組み

長崎大学病院は、安全安心で、高度な医療サービスを患者及びその家族に提供するために、医療事故防止、医薬品管理及び医療機器管理等の医療にかかる安全を適切に管理し、加えて、良質な医療の提供のために、主たる提供者である本院職員の安全に配慮することで、患者やご家族の皆さまへ適切な医療を実施できる環境作りを行っています。

長崎大学病院医療安全監査委員会について

長崎大学は、医療法施行規則(昭和23年厚生労働省第50号)第15条の4第1項第2号に基づき、長崎大学病院医療安全監査委員会を設置しています。

 

病院感染対策指針

 

長崎大学病院における臨床研究実施方針

 

輸血拒否に対する基本方針

無輸血治療を希望される方へ

宗教上の理由など個人的信念に基づき輸血を拒否される方に対する基本方針について

 長崎大学病院では、輸血を含んだ標準的医療の提供を前提とした診療を行っております。
 宗教上の理由など個人的信念に基づく輸血拒否を理由に診療を拒むことは致しませんが、救命や生命維持にとって必要不可欠であると医師が判断した場合には輸血を行う「相対的無輸血」の方針で対応しますので、ご理解・ご協力のほどをお願い申し上げます。

無輸血での手術や治療が可能と判断した場合

患者さんの自己決定権を尊重し、指定外の輸血は行いません。
ただし、体調が変化した場合は、下記の「緊急性の低い手術や治療において」や「緊急手術や緊急の治療(救急搬送や院内の予期せぬ急変など)において」の方針に沿って対応いたします。

緊急性の低い(時間的余裕がある)手術や治療において

輸血が救命や生命維持にとって必要不可欠と判断され、無輸血での手術や治療ができない、または、できるかどうかわからないと当院が判断した場合は、他の治療法への変更や転院をお勧めすることがあります。

緊急手術や緊急の治療(救急搬送や院内の予期せぬ急変など)において
  • 輸血の意思の事前確認が可能で、無輸血での手術や治療が可能であると当院が判断した場合は、指定外の輸血は行いません。
  • 輸血の意思の事前確認が可能であっても、輸血が救命や生命維持にとって必要不可欠と判断され、無輸血での手術や治療ができない、または、できるかどうかわからないと当院が判断した場合は、最大限の代替治療を行った上で、生命維持を優先し輸血を行います。
  • 輸血の意思の事前確認ができない場合は、生命維持を優先し、輸血を行います。

※相対的無輸血:患者の意思を尊重して可能な限り無輸血治療に努力するが、「輸血以外に救命手段がない」事態に至ったときには輸血を行うという立場・考え方。
 絶対的無輸血:患者の意思を尊重し、たとえいかなる事態になっても輸血をしないという立場・考え方。

 当院は、患者さんが持参される「絶対的無輸血」に関連した免責証明書等には署名いたしませんのでご了承ください。書類については全て当院所定のものを使用します。