新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者に対する
「乳酸菌L.ラクティス プラズマ(プラズマ乳酸菌)」
を用いた特定臨床研究を開始

 

 国立大学法人長崎大学(学長 河野 茂、以下長崎大学)は、キリンホールディングス株式会社(社長 磯崎 功典、以下キリン)が研究開発を行っている「乳酸菌L.ラクティス プラズマ」(以下プラズマ乳酸菌)※1を用いて、新型コロナウイルス感染症(以下COVID-19)患者を対象とした症状緩和効果についての特定臨床研究を、12月から開始します。キリンは本特定臨床研究に長崎大学と協力して取り組みます。

 新型コロナウイルス(以下SARS-CoV-2)は、2019年12月以降、爆発的に感染が拡大し、全世界で2.6億人を超える感染者と5百万人以上の死者(2021年11月28日時点)を出し、今なお全世界で猛威を振るっています。世界的規模で公衆衛生上の脅威となっているSARS-CoV-2の感染に対し、前例のないスピードでワクチン開発や治療薬の開発が進む中、高い安全性や使いやすさ、SARS-CoV-2変異株に対する有効性を兼ね備え、簡便に服用できる医薬品が求められています。

 プラズマ乳酸菌は、ウイルス感染防御を担う免疫系の司令塔であるプラズマサイトイド樹状細胞(以下pDC)を活性化する乳酸菌として、キリンが2010年に発見しました。さまざまな研究を通して、他の乳酸菌と比べて極めて高いウイルス感染防御機能がある※2ことが明らかになっており、インフルエンザウイルスやロタウイルス、デングウイルスなど、各種ウイルスに対する臨床・非臨床での研究成果※3も発表されています。2020年8月にはこのような科学的エビデンスを背景に、プラズマ乳酸菌を使用した商品が、免疫機能において日本で初めて※4機能性表示食品として届出を受理されました。

 長崎大学は、熱帯医学・感染症、放射線医療科学分野において日本を代表する卓越した研究成果を持つ研究機関として、キリンが積み重ねてきたプラズマ乳酸菌に関する研究成果について、プラズマ乳酸菌がCOVID-19患者の発症予防効果および症状緩和に対して効果をもたらす可能性があると考え、長崎大学病院呼吸器内科の山本和子講師を中心に特定臨床研究を計画し、11月4日(木)に長崎大学臨床研究審査委員会にて正式に承認されました。

 今回実施する特定臨床研究は、長崎大学病院を核として、複数の病院で実施する多施設共同試験で、COVID-19患者に対して「プラズマ乳酸菌(約1,000億個)」を含むタブレット4粒(プラズマ乳酸菌計約4,000億個)、あるいは「プラズマ乳酸菌」を含まないタブレット4粒を、それぞれ50名に14日間摂取していただき、その有効性・安全性を検証するもの※5です。本研究において、キリンはプラズマ乳酸菌に関する知見と技術を生かしながら、長崎大学が実施する研究をサポートします。

 長崎大学、キリンは、プラズマ乳酸菌がCOVID-19に対する新たな予防、治療法の一つになることを期待しています。

※1 国立研究開発法人理化学研究所バイオリソースセンターが所有するLactococcus lactis subsp. lactis JCM 5805のこと。
※2 Clin Immunol. (2013) 149 (3), 509-518、PLoS One. (2012) 7 (4) e32588など
※3 乳酸菌L. ラクティスプラズマ研究レポート
※4 免疫機能の機能性表示食品として届出公表された日本初のブランド
※5 本特定臨床研究の詳細は、12月6日(月)に厚生労働省が整備するデータベース(jRCT:Japan Registry of Clinical Trials)に公開



[記事:総務課(広報・評価)]