当センターが開設され4年目を迎えました。開設1年目は教官1名、事務員1名にて活動を開始。新型コロナウイルス感染症の流行で、感染症フェローシップなどの研修プログラムの立ち上げをしつつ、1名ではありますが初期研修医感染症特化コースを修了しつつ、県内、県外での医療機関、介護施設でのCOVID-19のクラスター支援に明け暮れた一年でした。 2年目より副センター長として呼吸器内科の支援のもと井手昇太郎先生がスタッフ教官として入って頂き、感染症フェロー3名の医師を迎え、Nagasaki ID Fellowshipを本格的に始動しました。その内の2名の医師は研修を修了して、院外の施設での勤務を始めております。また、長崎県から委託事業として感染症専門医療職(感染症専門医やICNなど)の不在の長崎県内の中小規模の医療機関における新型コロナウイルス感染症の診療、標準的な感染症診療、感染対策を促進するための「地域医療機関における感染症人材育成事業」を3年間の予定で開始しました。医療機関、介護型高齢者施設を訪問し、多職種の方に研修を4週間にわたって行っています。研修終了後も新しい情報提供も含めた定期的なフォローアップ研修も行っています。また、新型コロナウイルス感染症の重症患者に対する診療のレベルアップを図るため、本学麻酔・集中治療医学講座、当院集中治療部、リハビリテーション部、呼吸器内科、感染制御教育センターの皆さんのご協力を得て、県内医療機関の医療従事者対象にハイブリッド形式の研修会も開催し150名を超える方に参加して頂きました。感染症専門医については、受験の支援をさせていただいた2名が晴れて感染症専門医の仲間入りとなり、県外の施設でそれぞれのキャリアを歩まれています。
3年目は新たに3名の医師を感染症フェロー2期生として迎え入れ、院内感染症診療科、中央診療部門でのローテーション研修、感染症フェロー1期生医師1名は国内外の研修協力医療機関、行政機関での研修で更なる専門研修を行いました。感染症専門医としては感染症フェロー1期生1名の他に受験支援した医師も含め合計5名の感染症専門医の育成に関わることが出来ました。これも多くの方々のご理解とご協力と専門医取得された医師の皆さんの努力の賜物と思います。改めて感謝申し上げます。長崎県の委託事業についても引き続き活動を行い、初年度と合わせて30施設での研修を行いました。また、精神科単科病院でのCOVID-19クラスター事例や結核のアウトブレイク事例などが報告されており、長崎県、長崎県精神科病院協会との共催で高山赤十字病院呼吸器内科部長の阪下健太郎先生を講師に招き感染対策セミナーも開催させていただきました。また、新興感染症や重症感染症、敗血症の患者診療、ケアについても本学麻酔・集中治療医学講座、当院集中治療部、リハビリテーション部の皆さんと一緒にセミナーを開催させて頂きました。人材育成については当院感染制御教育センターの皆さんと県内感染対策向上加算1の施設の皆さんと一緒に高齢者施設の看護師さん向けの研修にも参加し施設内感染対策の向上に関与させていただきました。他にも各医療団体の会員さん向けの研修活動に携わる機会も多くなりました。 COVID-19も5類感染症となり、当センターも開設4年目を迎えました。新しく感染症フェロー3期生も迎え、多くの方々の協力を得ながら専門医育成のみならず、非感染症専門の医療職の感染症診療・対策に関するスキル、知識の向上を進めていくための持続可能な取り組みを促進するよう今後も努めて参ります。 引き続き皆様のご協力の程宜しくお願い致します。
長崎大学病院感染症医療人育成センター 教授・センター長
古本 朗嗣
略歴青雲高等学校卒業
鹿児島大学医学部医学科卒業
長崎大学医学部附属病院熱研内科(感染症内科)
市中関連病院のローテーション
長崎大学医学部歯学部附属病院感染症内科医員
長崎大学熱帯医学研究所臨床感染症分野(助手)
Department of Microbiology. The University of Iowa
リサーチフェロー
長崎大学病院感染症内科(助教、講師)
長崎労災病院感染症内科(部長)
十善会病院感染症内科(部長)
長崎大学病院感染症医療人育成センター 教授・センター長
資格日本内科学会内科認定医、総合内科専門医、内科指導医
日本感染症学会感染症専門医、指導医、評議員
ICD(日本感染症学会認定)
抗菌化学療法指導医
日本呼吸器学会呼吸器専門医
厚労省認定臨床研修指導医、プログラム責任者
医学博士