Program

研修プログラム

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目標に沿ったコースを提供します

感染症専門医コース
(Nagasaki ID Fellowship)
内科認定医、内科専門医、基本領域学会専門医を取得した感染症専門医志望者向けです。
市中病院において感染症医として、独立して活動できる能力を培います。
感染症に関する研究、教育などのアカデミックキャリアを開始できる能力を身に付けます。
感染症学会認定感染症専門医の取得を親身にサポートします。
※基本領域学会
日本医学放射線学会、日本眼科学会、日本救急医学会、日本外科学会、日本産科婦人科学会、日本小児科学会、日本耳鼻咽喉科学会、日本整形外科学会、日本精神神経学会、日本内科学会、日本脳神経外科学会、日本泌尿器科学会、日本皮膚科学会、日本病理学会、日本麻酔科学会、日本リハビリテーション学会、日本臨床検査医学会(2021年5月現在)
ベーシックコース
診療科問わず、感染症診療について学びたい人に向いており、希望者に応じたプログラムを提供します。
感染症診療・臨床微生物学・感染制御の原則を学び、実臨床に活かすことを目標にします。
「ICD(インフェクション・コントロール・ドクター)取得」をサポートします。
リフレッシュコース
感染症専門医の有資格者向けに高次医療機関における特殊な感染症症例の経験を提供します。
ICD有資格者向けに、感染症診療、感染対策についてのトレーニングの場を提供します。
初期研修医感染症特化コース
長崎大学病院及びその提携関連施設でトレーニング中の初期研修医向けです。
感染症専門医となるための基礎作りをします。
感染症診療、感染対策、微生物検査についての原則を学べます。

感染症専門医育成のための
ローテーション研修

呼吸器内科(感染症班)

呼吸器+感染症専門医が丁寧に指導します。

呼吸器領域の多彩な
感染症疾患の経験

  • 肺炎(市中、院内)、肺化膿症、膿胸など
  • 肺抗酸菌症(結核・NTM)
  • 肺真菌症(アスペルギルス・クリプトコックス、PCP etc.)
  • ウィルス性肺炎(COVID-19、重症インフルエンザ etc.)

呼吸器診療で必須の手技の習得

  • 気管支鏡検査
  • 胸腔穿刺、胸腔ドレーン
  • 重症例の呼吸管理
  • 胸部CT画像の読み方(感染症/非感染症の鑑別で重要)

免疫不全における
感染症マネージメント

  • 造血幹細胞移植、化学療法に関連する感染症
  • 膠原病・血管炎治療中における日和見感染症
  • HIV/AIDSにおける日和見感染症 etc.

真菌感染症専門医数は全国随一!

  • 真菌関連検査(抗原・抗体、培養、遺伝子学的同定、薬剤感受性)
  • 抗真菌薬の使い方
  • 臨床研究、基礎研究

指導医

  • 高園 貴弘
    1. 医学博士
    2. 日本内科学会総合内科専門医・指導医
    3. 日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医
    4. 日本感染症学会感染症専門医・指導医
    5. 日本化学療法学会抗菌化学療法認定医・指導医
    6. Infection Control Doctor
    7. 臨床研修指導医
  • 岩永 直樹
    1. 医学博士
    2. 日本内科学会総合内科専門医・指導医
    3. 日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医
    4. 日本感染症学会感染症専門医・指導医
    5. 日本化学療法学会抗菌化学療法認定医・指導医
    6. Infection Control Doctor
    7. がん治療認定医
    8. 臨床研修指導医
  • 武田 和明
    1. 医学博士
    2. 日本内科学会総合内科専門医・指導医
    3. 日本呼吸器学会専門医・指導医
    4. 日本感染症学会感染症専門医
    5. 日本結核・非結核性抗酸菌症学会認定医
    6. Infection Control Doctor
    7. 臨床研修指導医
  • 吉田 將孝
    1. 医学博士
    2. 日本内科学会内科総合内科専門医
    3. Infection Control Doctor
    4. 臨床研修指導医

感染症内科

当科は、熱帯医学研究所(熱研)の唯一の診療部門です。感染症・熱帯医学研究や国境なき医師団などの国際医療活動を志す医師が全国から集まり、アジア、アフリカ、南米の熱帯地へ出かけ、診療・研究・研修に従事しています。なかでも、フィリピン国立感染症病院には、臨床研究拠点を持ち、結核、 菌血症、ジフテリア、レプトスピラ症、デング熱などの研究と臨床研修を推進しています。
大学病院では感染症診療として院内各診療科、診療部門からの感染症症例のコンサルト対応、院外からの感染症症例の入院診療に加え、通常の感染症外来に加え、海外渡航外来も開設しており、海外 渡航前の健康相談、ワクチン接種(A 型肝炎、B 型肝炎、ジフテリア・破傷風、麻疹・風疹、狂犬病、 髄膜炎菌、日本脳炎、黄熱病)、マラリア予防薬処方、 英文診断書作成なども行っています。

感染症内科入院患者

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診療科別感染症コンサルト症例

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疾患別感染症コンサルト症例

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熱帯医学研究所をベースとした
研究教育活動

  • ベトナムでの呼吸器感染症のコホート研究
  • 東南アジアにおける非マラリア熱性疾患に関する共同研究
  • 北タイにおけるHIVコホート研究

海外医療活動

  • サンラザロ病院でのCOVID-19診療支援
  • MSF(国境なき医師団)ミッションへの参加
    1. パプアニューギニアでの結核プロジェクト
    2. エチオピア南スーダン難民の診療

指導医

  • 山梨 啓友
    1. 医学博士
    2. 日本内科学会総合内科専門医
    3. 日本感染症学会感染症専門医
    4. 日本専門医機構 総合診療専門医・指導医
    5. 日本プライマリ・ケア連合学会家庭医療専門医・指導医
    6. 日本病院総合診療医学会認定病院総合診療医・指導医
    7. 日本老年医学会老年科専門医
    8. 日本環境感染学会 災害時感染制御支援チーム
    9. Infection Control Doctor
    10. 国際緊急援助隊感染症対策チーム登録医
    11. WHO Global Outbreak Alert and Response Network (GOARN) TIER 1.5 研修修了
    12. 臨床研修指導医
  • 山内 桃子
    1. 医学博士
    2. 日本内科学会認定内科医
    3. 日本呼吸器学会呼吸器専門医
    4. 国際緊急援助隊感染症対策チーム登録医
    5. WHO Global Outbreak Alert and Response Network (GOARN) TIER 1.5 研修修了
  • 増田 真吾
    1. 熱帯医学修士、Diploma of tropical medicine and hygiene
    2. 日本内科学会 認定内科医・指導医
    3. 日本感染症学会 感染症専門医
    4. 日本専門医機構 総合診療専門医
    5. 日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医・指導医
    6. 国際緊急援助隊感染症対策チーム登録医
    7. 日本DMAT隊員
    8. 臨床研修指導医
  • 池田 恵理子
    1. 日本内科学会認定内科医

臨床検査科・検査部

微生物検査の専門家(感染症+臨床検査専門医と認定臨床微生物検査技師)が丁寧に指導します。
検査を深く知り、習熟することは、感染症医の考えの幅を大きく広げ、診断力を強化します。

  • 検体の質の評価
    (採取法・容器・輸送・保存)
  • グラム染色の手技のコツと鏡検のポイント
  • 抗酸菌検査の手法
    (Ziehl-Neelsen染色・蛍光染色)
  • 培養・同定検査の実際と結果解釈
    (MALDI-TOF/MS)
  • 最新の検査機器の理解
    (GeneXpert, FilmArray…)
  • 同定困難な微生物の同定
    (16s rRNA)
  • 新型コロナウイルス検査の実際
    (遺伝子・抗原) etc.

指導医

  • 小佐井 康介
    1. 医学博士
    2. 日本内科学会総合内科専門医・指導医
    3. 日本呼吸器学会呼吸器専門医
    4. 日本感染症学会感染症専門医
    5. 日本化学療法学会抗菌化学療法認定医・指導医
    6. Infection Control Doctor
    7. 臨床研修指導医

    研究テーマ

    1. 感染症の分子診断
    2. 薬剤耐性菌感染症の分子疫学的・臨床的検討
    3. インフルエンザ関連細菌性肺炎の重症化因子の解析
  • 赤松 紀彦
    1. 長崎大学病院検査部副臨床検査技師長
    2. 農学修士
    3. 医学博士
    4. 臨床検査技師、認定微生物検査技師、感染制御認定臨床微生物検査技師

小児科

小児科医が日常診療でしばしば遭遇するものを主に、成人感染症医にとって必要不可欠な小児感染症について双方向の講義スタイルで学んでいきます。

  • 小児の感冒診療
  • 小児特有のウイルス感染症
  • 小児におけるワクチン
  • 小児の細菌感染症(血液培養)
  • 母子感染症 etc.

指導医

  • 河田 宗一郎
    1. 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科
    2. 新興感染症病態制御学系専攻
    3. 熱帯小児感染症学分野 博士課程 在籍中

    資格

    1. 日本小児科学会専門医
    2. 日本小児感染症学会小児感染症認定医
    3. Infection Control Doctor
    4. 日本医師会認定産業医
    5. 臨床研修指導医

    研究テーマ

    1. 感染症疫学

感染制御教育センター

AMR対策、1類感染症からCOVID-19対応まで、感染床対策のエキスパートがon the job trainingで丁寧に指導します。

Infection Control Teamとして
  • 日々のサーベイランス&ラウンド
  • アウトブレイク対応
  • COVID-19感染対策
  • 1類感染症感染対策
  • 職員の教育・啓発、地域連携など

病院の即戦力!地域のリーダに!

Antimicrobial Stewardship Teamとして
  • 抗菌薬から抗真菌薬まで幅広く
  • アンチバイオグラム活用
  • 抗微生物薬の処方状況、介入
  • 患者の診療コンサルテーション
    (主にICU症例や固形臓器移植、造血幹細胞移植関連感染症)

病院を「患者」として
捉える目を養う!

感染制御教育センターの皆さん
  • アウトブレイクに対応できるようになる!
  • COVID-19に対応できるようになる!
  • 感染症を減らせるスキルが身につく!
  • 病院から求められる感染対策スキルが身につく!
  • 行政や地域と連携した感染対策の実際を体験できる!
  • 感染症医として必須の多職種連携を学べる!

指導医

  • 田中 健之
    1. 医学博士
    2. 日本内科学会総合内科専門医
    3. 日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医
    4. 日本感染症学会感染症専門医・指導医
    5. Infection Control Doctor
    6. 臨床研修指導医
  • 田代 将人
    1. 医学博士
    2. 日本内科学会総合内科専門医・指導医
    3. 日本呼吸器学会呼吸器専門医
    4. 日本感染症学会感染症専門医・指導医
    5. 日本医真菌学会認定専門医
    6. 日本化学療法学会抗菌化学療法認定医・指導医
    7. Infection Control Doctor
    8. 日本医師会認定産業医
    9. 臨床研修指導医
  • 柿内 聡志
    1. 医学博士
    2. 日本内科学会総合内科専門医
    3. 日本感染症学会感染症専門医
    4. 日本化学療法学会抗菌化学療法認定医・指導医
    5. Infection Control Doctor
  • 藤田 あゆみ
    1. 日本救急医学会救急科専門医
    2. Infection Control Doctor
    3. 日本DMAT隊員
    4. 日本スポーツ協会公認スポーツドクター
  • 寺坂 陽子
    1. 看護師、保健師、感染制御教育センター看護師長、看護学修士
    2. 日本看護協会 感染症看護専門看護師、日本呼吸療法学会認定呼吸療法認定士

募集要項

長崎大学病院 感染症医療人育成センターでは、随時募集を行っています。
それぞれの希望者に応じたプログラムの提供が可能です。

医師 研修プログラム

令和7年度感染症フェロー募集

研修期間 令和7年4月~、希望に応じ2~3年間(※開始時期はご相談に応じます)
研修プログラム 感染症専門医コース<オンデマンド・2~3年>
ベーシックコース<3か月~1年>
リフレッシュコース<3か月~1年>
初期研修医感染症特化コース<3か月>
※研修期間は希望に応じ調整します
処遇 待遇・給与については、研修プログラムによって異なりますので、個別に対応させていただきます。

研修修了生の声


本田 宏幸

 令和5年度の1年間大変お世話になりありがとうございました。初期研修終了後、出身大学である札幌医科大学呼吸器・アレルギー内科に入局し北海道内各地で呼吸器内科医として勤務してきました。呼吸器内科疾患の中で特に感染症分野に興味をもち、大学院では微生物学講座に所属し、インフルエンザ菌の薬剤耐性についての研究を行いました。博士課程の修了、感染症専門医の取得を経て感染症への理解が深まったと感じた一方、多くの微生物と検査、適切な抗菌薬使用、そして新型コロナウィルス感染症の流行で求められた感染制御など、「感染症」の多岐に渡る分野に対する知識と経験不足を感じる日々でした。そんな中、当センターの研修プログラムを知り、長崎大学病院の感染症に関わる多くの科で感染症診療を学ぶ機会を頂きました。感染制御教育センター、呼吸器内科、臨床検査科、感染症内科をローテーションすることで「感染症」を様々な形で経験する事ができました。感染制御の面では、毎日行われるAST、ICTのカンファレンスに参加し、院内さらには国内外の感染症に関わる諸問題をリアルタイムで知ることができました。また、市中病院へのサイトビジットや、感染制御に関わるwebセミナーの担当等を経て、実践的な感染対策を経験することができました。次に、感染症コンサルトについてですが、長崎大学では複数の科がその役割を担っており、指導医のバックアップのもと1年を通して多種多様な症例を経験することができました。コンサルトを受けることに慣れ自信がついた一方、コンサルト元の医師の感染症への理解度は様々であり、どこまで介入すべきかという距離感、また、これまで主治医として関わることがほとんどであった患者との距離感、それぞれの難しさを感じる場面もありました。ベッドサイドで診察し、主治医と対面で議論を重ね、成功体験を積み重ねていくことがコンサルタントとしての信頼を得るために重要であると、センター長の古本先生からは何度も教わりました。臨床検査科の研修では、検体処理から感受性試験までの各ステップを時間をかけて指導いただきました。菌名と薬剤感受性そしてその臨床背景を調べる毎日を過ごし、各々の菌の特性を意識しながら治療を進められるようになったと感じます。最後に、1年間過ごした感染症医療人育成センターですが、古本先生、井手先生、そしてフェローの先生達と毎日のように感染症に限らず様々な話で盛り上がり、その中で多くの知識を得ることができました。「感染症漬け」の日々をすごすことができ、感染症をより好きになった1年であったと研修を終えた今思います。
 長崎・九州は同じ日本でも北海道と比べると街の景色は大きく異なり、商店街の風景や、野菜、果物、魚、茶と食文化も非常に魅力的でした。長崎くんち、精霊流しに代表される、人のつながりを大切にする文化や、唯一の海外の出入口、出島を通じ国際都市であった長崎の歴史にも触れることができました。
 初めて北海道から出ての仕事、生活であり、不安がなかったわけではありませんが、このように充実した1年を送らせていただき、多くの方々に出会い刺激をうけました。もし、同じような境遇で迷っている方がいれば、ぜひ、長崎へ来て頂ければと思います。長崎大学病院の感染症関連科の皆様、大変お世話になりありがとうございました。医師としても人生経験としても重要な1年を過ごすことができました。

大城 亮作

 2年間、感染症医療人育成センターで大変お世話になりました。感染症医療人育成センターの1年目は長崎大学病院内の感染症内科(熱研内科)、感染制御教育センター、第二内科(呼吸器内科・感染症内科)、検査部微生物検査室、小児感染症(座学)の順番で研修させていただきました。もともと、長崎大学を卒業し、初期研修後は感染症内科(熱研内科)に入局し大学病院、県内市中病院で臨床をしていました。今回、すべての感染症診療科で研修させていただき、改めて長崎大学病院が感染症を学ぶ上で充実した環境であること、多くのスペシャリストがいることを感じました。全身感染症、ICU管理を要するような重症感染症、移植後免疫不全患者の感染症、癌治療に関連した感染症、呼吸器感染症、真菌感染症、抗酸菌感染症、小児感染症だけでなく、院内感染コントロール、微生物検査手法についても学ぶことが出来ました。
 2年目は主に大学病院外の施設での研修が中心で、国立国際医療研究センターDCC、長崎諫早原爆病院、名古屋医療センター、長崎県庁、長崎県立保健所、札幌医科大学医学部臨床検査医学・感染制御学講座、フィリピン、マニラの国立サンラザロ病院の順に研修させていただきました。輸入感染症の鑑別の考え方、性感染症、結核診療や届出、HIV患者の診療や関連書類作成、日本では経験困難な感染症(デング熱、ジフテリア、狂犬病、破傷風、住血吸虫症、多剤耐性結核など)を経験することができました。それだけでなく、長崎県立保健所では主に保健所のもつ多彩な業務とその役割、結核患者の接触者調査、DOTS訪問、結核モデル病床の成り立ちについて学ぶことができました。2年目の研修では特に地方では経験を積むことが難しい疾患の経験、また感染症関連の公衆衛生学についても学ぶ機会があり、感染症の知識の習得のみならず、さまざまな部署で多くの方々とのつながりが出来たことも貴重な財産となりました。感染症医療人育成センターでは感染症専門医試験、症例報告や臨床研究のサポートもあり、感謝してもしきれない気持ちです。
 2年間の研修で、偶然にもデングウイルスに興味を持つようになりました。長崎大学熱帯医学研究所ウイルス学教室では昔からフラビウイルス、特にデングウイルス、日本脳炎の研究が行われています。偶然が重なり、研修終了後は熱帯医学研究所ウイルス学教室でデングウイルスの研究を行うために大学院博士課程に進学することにしました。これまで臨床しかしておらず、基礎研究の世界に入って苦労することも多いですが、将来的にはこれまで経験したことを含めて、地域での感染症診療の場で還元していければと思っています。
 現在、感染症研修を考えている方は是非、一度は長崎大学病院感染症医療人育成センターを考えてみてください。思ってもいないような出会いがあるかもしれません。

久保 亮太朗

初期研修医感染症特化コースの研修を受けて
本コースでは、呼吸器内科、感染症内科、感染制御教育センター、検査部の各部門を、一か月間ずつローテーション研修いたしました。
呼吸器内科では、市中肺炎や真菌・抗酸菌などの慢性呼吸器感染症の症例を担当させていただきました。また、実際にPPEを着用してCOVID-19患者の診療に従事し、治療のマネジメントや人工呼吸器、高流量酸素療法の管理について学習しました。さらに、感染症疾患のみならず、肺癌や間質性肺炎といった他の呼吸器疾患の症例を経験し、鑑別疾患のアセスメントを行うことができました。
感染症内科では、通常の感染症診療に加え、他科からのコンサルテーション症例に従事する機会が多くありました。コンサルテーションは内科、外科を問わず様々な診療科から依頼があるため、各科の疾患や治療方針に沿った感染症診療が重要であることを学びました。
感染制御教育センターの業務は、院内の耐性菌や広域抗菌薬使用のモニタリング、医療機関と行政間の医療政策の調整など多岐にわたり、感染症が関与する領域の広さとコミュニケーション能力の重要性を学びました。特に、地域病院へのサイトビジットでは、COVID-19患者を安全に診療するための環境構築や病棟運用について、医師、看護師、保健所職員の方とディスカッションし、様々な医療機関においてCOVID-19診療が促進されていくプロセスを目の当たりにしました。
検査部の研修では、経験豊富な臨床検査技師の方から各微生物の特徴や検査法についてご指導いただきました。検査の原理、手法を学ぶことで検査結果をより正確に解釈することが可能となり、微生物検査室と綿密にコミュニケーションをとることで、患者により良いアウトカムをもたらすことを実感いたしました。
最後になりますが、各部門の先生方、そして感染症医療人育成センターの古本先生、ご指導いただきありがとうございました。
今後ともご指導ご鞭撻を頂けますよう、心よりお願い申し上げます。

日本大学医学部附属板橋病院 産婦人科

小林 理

長崎大学 感染症医療人育成センターでの研修を通して
当センター オンデマンドコースで研修をさせて頂いた小林理と申します。
私のバックグラウンドは産婦人科専門医でありますが、もとより“Womb to tomb care”と“胎内から墓場まで”を診れる医療者でありたいと考えておりました。
その考えのもと、認定内科医取得後に産婦人科医として卒後10年 婦人科腫瘍を根幹に女性医学、周産期医療、生殖医療に携わり、性行為感染症を専門として研鑽を積んできました。
その一方で、感染症は診療科問わない究極のcommon diseaseであり、特定の部位や疾患に限定しない多岐にわたる臨床経験こそが最も必要な学問であることを痛感することが多く、感染症診療を一から、そして最高の環境で学びたいと当センターの門を叩かせていただいた次第であります。
当センターでは、感染症専門医の取得を念頭に感染症内科としての感染症診療の考え方や、感染制御学に臨床検査医学など、他科専門医としては臨床経験が積みにくい領域を網羅的かつ系統的に研修させて頂きました。
各専門領域における経験豊富な感染症専門医からの指導は、臨床における重要なポイントやストーリーについて今までにない視点での洞察を得ることができました。また、ディスカッションやカンファレンスを通じて、他専門科や他職種との協力と連携の重要性も学びました。
私個人の考えとして、感染症診療は究極の全人的医療であると考えており、その診断および治療根拠には、医学的根拠のみならず、その地域性や文化 ・習慣、医師個人の経験則(empiric)が色濃く反映される学問であると考えております。そしてなにより、多様な患者背景を享受した最たるnarrative based medicineそのものと考えております。
その点、どこでどのような経験を積むか、が、感染症診療の質に大きく寄与するものと考えます。図らずも、400年以上前より日本唯一の国際貿易港として常に先進性や多様性を享受しつづけてきたこの長崎という由緒ある風土が、先人から繋がるそのempirical therapyを質・量ともに確かに昇華させ、本邦における感染症診療/教育のトップランナーであることに矛盾がないと納得するばかりであります。
末文になりますが、 “本邦で最高水準の感染症診療・教育”が当センターでは経験できると自信をもってお伝え出来ます。
また医師として確実に幅広い視点やストーリーを知り、専門科を問わず、一般診療においても患者様に大きな利益をもたらすと考えております。
感染症診療に興味がある方は、長崎留学してみることをお勧めします。

平岡 知子

私は2022年4月から2023年3月までの1年間、感染症医療人育成センターのフェローとして研修させて頂きました。私の場合は感染症専門医試験受験に必要な認定施設の研修期間があと半年だけ残っていたという事情があり、3年ではなく1年でコースを組んで頂きました。4月から順番に、感染制御教育センター3ヶ月、臨床検査科・検査部1ヶ月、感染症内科(熱研内科)4ヶ月、呼吸器内科4ヶ月、小児感染症講義1週間とローテーションしました。
感染制御教育センターでは主にICU患者や臓器移植患者の感染症コンサルトやICT活動に関して、感染制御の先生方やスタッフの皆さんと一緒に動いて勉強させて頂きました。コンサルト症例ではICU患者ならではの考え方や抗菌薬の使い方、固形臓器移植患者でのワクチン接種や日和見感染症対策などはとても勉強になりました。ICT活動に関しては、ラウンドで個々の部署の感染対策を確認するだけでなく、院内の各種感染対策マニュアル作成や感染委員会でのコメント、耐性菌の院内サーベイランスなど、病院規模の大きさに伴って求められるより高い視点からの感染対策の司令塔としての仕事も見ることが出来ました。また、保健所からのCOVID-19患者の治療施設の振り分け相談やCOVID-19対策提言、地域の中核病院・中小規模病院の感染対策指導など院外の組織との関わりもあり、一般市中病院のICTとは違う活動の広さを知ることができました。
臨床検査科・検査部での研修は主に微生物検査室で行いました。最初に各種培養検体の処理工程、グラム染色、分離培養、純培養、MALD-TOFによる菌種同定、薬剤感受性試験と基本的な細菌培養検査の流れを臨床検査技師さんから教えて頂きました。並行して、増菌培養や嫌気培養、抗酸菌検査(塗沫・培養・PCR)、各種培地の使い分け等も教えて頂きました。私にとってはグラム染色から先の微生物検査の工程はそれまで全く知らなかった世界であり、非常に興味深く学ぶことの多い研修でした。感染症内科(熱研内科)では、感染症患者の入院診療と他科からの感染症コンサルト対応を同科の先生方と一緒にさせて頂きました。入院診療では菌血症を呈した誤嚥性肺炎や尿路感染症、化膿性椎体炎、COVID-19など市中病院でも頻度の高い感染症から、結核や日本紅斑熱、口腔下顎膿瘍、梅毒など比較的珍しい疾患も診ることができました。感染症コンサルトでは、救命救急センター、外傷センター、整形外科、腹部外科、脳神経外科、形成外科、皮膚科、耳鼻咽喉科、産婦人科、歯科口腔外科、消化器内科、リウマチ膠原病科など幅広い診療科から相談を受けました。各専門領域の疾患に感染症を入院時に合併していることが判明した症例や術後創部感染症、不明熱など様々でした。日々のカンファで専門医の先生方のミニレクチャーがあり、病原体に関する知識や細菌検査室へ結果確認に行くタイミング、抗菌薬選択と治療期間の考え方なども教えて頂きました。
呼吸器内科では、同科の病棟主治医として入院患者を受け持ちながら、同科の感染症班の1人として他科感染症コンサルトの対応をさせて頂きました。入院症例は、重症COVID-19やウィルス排出が長期にわたって遷延する免疫不全を合併したCOVID-19症例、各種日和見感染症、膿胸など多彩な感染症のみならず、間質性肺炎の急性増悪や喘息発作、在宅酸素導入目的の入院、気管支鏡検査入院など呼吸器症例も担当させて頂きました。他科コンサルト症例では血液内科、腎臓内科、呼吸器外科からの相談が特に多く、一般細菌感染症だけでなく、白血病、悪性リンパ腫などの血液悪性疾患、造血幹細胞移植や肺移植後など免疫不全を背景とした日和見感染症や真菌感染症を診る機会も多くありました。また、CT画像所見から真菌症を疑うかどうかなど、呼吸器科ならでは相談も多くありました。ほとんど経験の無かった領域の感染症が多く、悩むことも多かったのですが、指導医の先生方は呼吸器科としての視点も踏まえた考え方や現実に即した対応法など丁寧に教えて下さいました。
小児感染症に関しては、小児科診療の基本的な考え方からcommon diseases、母子感染、ワクチンの話、NICU症例での感染症などを具体的な症例のお話も交えつつ、5日間に分けて講義して頂きました。初期研修時代以来、小児科診療に関わることが無くなっていたため、激しく抜け落ちていた知識や考え方のとても良い復習になりました。ワクチン接種スケジュールなど自分が学生時代や研修医時代に学んだ内容が古くなっていた項目もあり、良いアップデートの機会となりました。
長くなってしまいましたが、全体としてそれぞれのローテーション先で新しく経験できたものや学べた事は多く、楽しく充実した研修だったと感じています。専門医試験受験資格の事だけを考えれば他の市中の認定施設でも問題ありませんでしたが、この1年間で学べたことや経験できたことを考えると、私はこちらを選んで良かったと思います。感染症診療に関することだけでなく、ICT活動や検査部での研修は今後の自分の医師としての仕事の幅を広げるものになったと思います。
元気な時も困った時も話を聞き、相談に乗り、励まし、指導して下さった古本先生と井手先生、お世話になった其々のローテンション先の先生方やスタッフの方々に心より感謝しています。また日々の話し相手になってくれた同期研修の大城先生、事務手続きを助けて頂いた医局秘書の田中さんにも厚く御礼申し上げます。

感染症フェロー


初期研修特化コース  久保亮太朗  2024年度 高泉 優
1期生  大城 亮作  平岡 知子  小林 理
2期生  中西 陽祐  本田 宏幸  米﨑 駿
3期生  川瀧 正典  田邉 雅章