認知症予知のロボット
本院で実証実験中

 長崎大学病院は長崎大学大学院工学研究科の研究グループが開発した人工知能(AI)を活用して認知症の予兆を検知する、コミュニケーションロボットを使った実証実験に取り組んでいる。
 ロボットはNECが開発した人型ロボットPaPeRo iを使用。国内で広く利用されている認知症診断テストである改定長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)をプログラミングして、認知症の予兆を検知する。工学研究科の研究グループの代表を務める工学研究科の小林透教授は「ロボットのコミュニケーション機能を試す際、介護施設の職員の方から認知症のテストができないかという相談を受けたことがきっかけだった」と開発の経緯を話す。
 2018年12月より開始したロボットの評価を目的とした実証実験では、本院脳神経内科の辻野彰教授の研究グループが担当している。本年度中に10名程度の被験者の協力の下、ロボットによる予兆検知の精度を評価。人が被験者に質問してスコアを計算する作業をロボットが代行する。ロボットには顔認証や音声認識の機能をプログラミングしているため、その機能が適正に働いているかを検証する。
 実験を担当する脳神経内科の宮崎禎一郎医師は「認知症診断にはHDS-Rに加え、高齢者がそれぞれの生活環境に対応できているかなども大きな判断材料になる。今回の実証実験の結果が今後さらにロボットのコミュニケーション能力を高めて、高齢者との日常会話の中で認知症の予兆を捉えることにつながれば」と話している。

(病院長企画室)