世界初、十二指腸腫瘍に対する再生医療を用いた
 医師主導治験1例目実施のご報告

概要

 長崎大学病院では、患者様御自身の細胞を用いて作製する「骨格筋由来細胞シート」の技術を十二指腸腫瘍の手術に応用する新規手術術式の医師主導治験を、2021年4月より開始しております。この術式は、十二指腸腫瘍に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)後の重篤な合併症である穿孔(せんこう)※1を細胞シート貼付にて予防するもので、腹腔内※2に細胞シートを移植するという点で世界初の再生医療研究の試みです。
 このたび、1症例目の移植手術が行われましたので以下のとおり御報告いたします。
 なお2症例目の移植手術が7月下旬に予定されており、今後も鋭意、治験を継続してまいります。
※1 穿孔:管腔臓器の壁に穴が開くこと
※2 腹腔:内臓がある、お腹の中の空間のこと

1例目について

  • 実施期間:2022年4月下旬から6月上旬
  • 実施場所:長崎大学病院
  • 方法:患者様の骨格筋組織より分離・培養された細胞から作製した細胞シートを、腹腔鏡下でESD後の十二指腸漿膜側に貼付。

これまでの経緯

  • 2021年1月20日:長崎大学病院治験審査委員会にて承認
  • 2021年2月8日:PMDAへ治験計画届出
  • 臨床研究実施計画・研究概要公開システム (jRCT) 登録:「表在性非乳頭部十二指腸上皮性腫瘍に対する腹腔鏡内視鏡合同手術におけるTERGS0001の探索的治験」(jRCT2073210094)

本研究への支援

本研究は、次の機関の支援を受けて実施しています。
国立研究開発法人日本医療研究開発機構 (AMED) 再生医療実用化研究事業2020年度~2022年度「表在性非乳頭部十二指腸腫瘍に対する内視鏡治療と腹腔鏡手術と再生医療を組み合わせた革新的な術式の開発」(研究代表者:金高 賢悟)

[記事:総務課(広報・評価)]